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ミステリ感想-『七十五羽の烏』都筑道夫

2006年12月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
父親に就職を命じられた物部太郎は、片岡直次郎の案で絶対に仕事をしなくてもいい探偵事務所を開く。
しかしそこに舞い込んできた奇怪な事件。姿を見た者は死ぬと言われる瀧夜叉姫のさまよう屋敷へと赴くことになり……。
完全なるフェアプレイに則り、作者は一つの嘘もつかない謎と論理のエンタテインメント。


~感想~
騙された。まさか本当にフェアプレイだったとは。すれっからしのミステリバカとしては事前にアレ(見当の付いた方だけネタバレ→)倉知淳『星降り山荘の殺人』 を読んでいたため、てっきりなにか仕掛けがあるのだと……。むしろアレが本書を逆手に取ったトリックだったと言うべきか。
それはともかく、嘘偽りのない完全なるフェアプレイは伊達ではないだけに、純粋論理で犯人が導かれるのは実に見事。導入部はやけに読みづらく、文意もつかみにくいが、事件が始まれば一息に読み通せる。僕のようなひねくれ者でなければ、変な小細工を想像せずに素直に楽しめるでしょう。
鬼面人を驚かす大仕掛けこそないが安心して楽しめる、額面通りの謎と論理のエンタテインメントでした。


06.12.20
評価:★★★☆ 7
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