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ミステリ感想-『愚者のエンドロール』米澤穂信

2007年03月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展される自主映画を観て千反田えるは呟いた。
その映画のラストでは、廃屋の密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか? その方法は? だが、謎は明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。
結末が気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出す。


~感想~
裏表紙にはほろ苦青春ミステリと冠されているが、終わってみればどこにも悪意のない、善意だけの青春群像。
いわゆる『毒入りチョコレート事件』手法の、推理の連打と否定の連打。しかし探偵は唯一無二の回答を導き出した――と見せかけて、さまざまな視点から提出される否定の論証が楽しい。
短いながらに詰め込まれた本格魂。21世紀、本格魂はライトノベルに宿るのか? これは秀作。


07.3.28
評価:★★★☆ 7
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