~あらすじ~
「ぼうず、おかえり……」12歳の棟像貢太郎は、越してきたばかりの町で、近所の老人に呼びかけられた。
両親を事故で亡くし、祖母と越してきた東京郊外の家。しかし貢太郎はこの町に見覚えがあった。怪異が次々と彼を襲い始め、友人の礼奈とともに探り出した、家に隠された戦慄の秘密とは?
~感想~
純正ホラー作品。
それにしても三津田信三は器用な作家である。ホラー、スプラッタ、ミステリとそれぞれ語り口を変え、ミステリでも『厭魅』『凶鳥』『首無』と全て違う雰囲気を醸成している。
ミステリ三作品と比べて読みやすさは格段。単なるホラーではなく中盤の家の秘密を探る段階では謎解きの妙、伏線の巧さも見せてくれる。
――が、終局のホラーからミステリへと踏み出しすぎた流れはちょっと期待を外した感も。あの結末もいいが、ここまでの展開からいって(以下ネタバレ→)霊を信じない愚かな真犯人を、一家総出でおもてなし を期待――するのは僕くらいの俗物だけだろうか。
ともあれ文庫書き下ろしということで気軽に手を出せるだろう佳作。三津田信三入門編としてもおすすめ。
07.7.18
評価:★★★ 6
「ぼうず、おかえり……」12歳の棟像貢太郎は、越してきたばかりの町で、近所の老人に呼びかけられた。
両親を事故で亡くし、祖母と越してきた東京郊外の家。しかし貢太郎はこの町に見覚えがあった。怪異が次々と彼を襲い始め、友人の礼奈とともに探り出した、家に隠された戦慄の秘密とは?
~感想~
純正ホラー作品。
それにしても三津田信三は器用な作家である。ホラー、スプラッタ、ミステリとそれぞれ語り口を変え、ミステリでも『厭魅』『凶鳥』『首無』と全て違う雰囲気を醸成している。
ミステリ三作品と比べて読みやすさは格段。単なるホラーではなく中盤の家の秘密を探る段階では謎解きの妙、伏線の巧さも見せてくれる。
――が、終局のホラーからミステリへと踏み出しすぎた流れはちょっと期待を外した感も。あの結末もいいが、ここまでの展開からいって(以下ネタバレ→)霊を信じない愚かな真犯人を、一家総出でおもてなし を期待――するのは僕くらいの俗物だけだろうか。
ともあれ文庫書き下ろしということで気軽に手を出せるだろう佳作。三津田信三入門編としてもおすすめ。
07.7.18
評価:★★★ 6