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ミステリ感想-『冤罪者』折原一

2007年12月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ノンフィクション作家・五十嵐友也のもとに届けられた一通の手紙。それは連続暴行魔として拘置中の河原輝男が冤罪を主張し、助力を求めるものだった。
しかし自らの婚約者を殺されていた五十嵐にとって、とても素直に受け取れるものではない。はたして河原の主張は本当なのか。


~感想~
折原作品をプロレスにたとえたのは誰だったろうか。
おなじみの叙述トリックや後頭部を殴られて気絶を、往年のレスラーの得意のムーブになぞらえていたが、まさにそのとおり。
決まりきったパターンといえば聞こえは悪いが、もはや後頭部を殴られなければ折原作品ではないとすら言える。その点、今回も期待を裏切らない。
千枚を超える長編、しかも中途で真相は見抜けてしまったが、先の展開が気になり、だれさせずに最後まで読ませてくれた。
叙述の罠も鋭く決まり、壊れた人間だらけの物語もいやに楽しく、折原一の代表作のひとつだと言えるだろう。
ファンならば必読。それにしてもこんな折原節全開の作品をなんだって直木賞候補なんかにしたのだろうか。


07.12.19
評価:★★★☆ 7
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