小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『大誘拐』天藤真

2007年12月26日 | ミステリ感想
~あらすじ~
三度目の刑期を終えたスリ師の健次は身代金目当ての誘拐を企む。雑居房で知り合った正義、平太を仲間に、標的は日本屈指の大地主・柳川とし刀自。
しかし熟考を重ねた計画は人質のはずの刀自に振り回されはじめ……。


~感想~
柳川としというキャラ、そして誘拐団を率いる人質という設定を考えついた時点で勝利は確定。
捜査陣と誘拐団の、人質自らが知恵を絞った奇抜な作戦の対決は、刀自をただの人質と信じて疑わない捜査陣の思惑のズレとあいまって非常に楽しい。
作者ならではの笑いのセンスが最高のキャラを得て爆発し、誰も幸せになれないはずの誘拐で、心温まる結末を描いて見せた。
誘拐ミステリというジャンルに留まらない大傑作である。


07.12.26
評価:★★★★☆ 9
コメント