小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『チーム・バチスタの栄光』海堂尊

2008年07月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
東城大学医学部付属病院の"チーム・バチスタ"は、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。
ところが原因不明の術中死が連続で発生。高階病院長は万年講師で通称「愚痴外来」の田口医師に内部調査を依頼する。
医療ミスかそれとも殺人か。聞き取り調査の先に待つものとは。


~感想~
ベストセラーを量産し話題をさらっただけはある、新人離れした筆力で長文をぐいぐい読ませてくれる。
というか新人でこれだけ読ませる作家がかつて何人いただろうか?
とにかく人物が魅力的。静の田口に動の白鳥の探偵コンビはもちろんのこと、脇を固める面々もかたっぱしからキャラが立っている。
物語は専門用語のオンパレードだがまったく問題なく読み進められ、正直トリックとかわけわかんねーし密室とかどうでもいいが、そんなことは瑣末事になってしまうくらい面白い。
展開も考え抜かれており、前半は田口の静の調査で事件の状況と人間関係をまとめ、後半は白鳥の動の調査で一気に物語が動きだす。この展開の緩急もまた魅力だが、前半の地味な静の調査を、まったく飽かせることなく読ませてしまう手腕はやはり驚異。
ミステリではなく医療を題材にしたエンタテインメント小説ととらえるべきだろうが、とにかく楽しい小説。ベストセラーだからと甘く見るなかれ。


上巻 08.7.2
下巻 08.7.7
評価:★★★★ 8
コメント