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ミステリ感想-『追憶のかけら』貫井徳郎

2008年10月04日 | ミステリ感想
~あらすじ~
交通事故で愛妻を失った大学講師が入手した、ある作家の未発表手記。
失意を乗り越え、娘を取り戻すためにも、そこに書かれていた自殺の真相に迫ろうと、隠された真実を追いかけるが、いつしか彼の身にも災厄が降りかかり……。


~感想~
全体の3分の1に近い手記は旧字体でものされているが、まったく問題なく読め、長大な分量を牽引するリーダビリティは抜群。
だがこの物語に決定的に足りないものは勧善懲悪である。ただ後味が悪いだけの真相に振り回される優柔不断の主人公は魅力に乏しく、感情移入できるかは人によることだろう。
また、個人的なことながら夫婦ものはどうしても現実を越えられない。うちの親のほうがよっぽどドラマティックで、この程度の話ではすこしも感動できなかった。
事実は小説よりも奇なり。


08.10.3
評価:★★☆ 5
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