~あらすじ~
1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。
ユーゴスラヴィアからやって来た少女、マーヤ。「哲学的な意味はありますか?」彼女と過ごす、謎に満ちた日常。
そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに……?
~感想~
ボーイミーツガールの傑作。
小市民ミステリシリーズで一世を風靡した作者の出世作、にしてはミステリ味に乏しいがそんなことは問題にならない。
舞台が約20年前、そしてユーゴのその後を知っているだけに、明るくみずみずしく描かれているはずの日常に、そこはかとなく感傷と悲劇のにおいがたちこめる。
どこにでもいる少女のようでいて、なにげない平和な日本の日常に溶け込めないマーヤ。それは彼女の日々に戦争の影が落ちていたことをうかがわせる。
語り手の守屋もまた、普通の少年でありながら、普通の日常に溶け込めずにいる自分を自覚していて――などと内容に触れてはもったいない。
興味があればぜひ読んでもらいたい。特に中高生には激しくおすすめ。人生観が変わりかねない一冊となることだろう。
ただ惜しむらくは――ミステリじゃなくてよかったんじゃない?
08.10.23
評価:★★★★ 8
1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。
ユーゴスラヴィアからやって来た少女、マーヤ。「哲学的な意味はありますか?」彼女と過ごす、謎に満ちた日常。
そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに……?
~感想~
ボーイミーツガールの傑作。
小市民ミステリシリーズで一世を風靡した作者の出世作、にしてはミステリ味に乏しいがそんなことは問題にならない。
舞台が約20年前、そしてユーゴのその後を知っているだけに、明るくみずみずしく描かれているはずの日常に、そこはかとなく感傷と悲劇のにおいがたちこめる。
どこにでもいる少女のようでいて、なにげない平和な日本の日常に溶け込めないマーヤ。それは彼女の日々に戦争の影が落ちていたことをうかがわせる。
語り手の守屋もまた、普通の少年でありながら、普通の日常に溶け込めずにいる自分を自覚していて――などと内容に触れてはもったいない。
興味があればぜひ読んでもらいたい。特に中高生には激しくおすすめ。人生観が変わりかねない一冊となることだろう。
ただ惜しむらくは――ミステリじゃなくてよかったんじゃない?
08.10.23
評価:★★★★ 8