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ミステリ感想-『聖フランシスコ・ザビエルの首』柳広司

2008年10月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
フランシスコ・ザビエルの遺骸は、死後も腐敗することがなかったという。
だが鹿児島で新しく「ザビエルの首」が見つかり、それを取材した修平は、ミイラと視線を交わした瞬間、過去に飛ばされ、ザビエルが遭遇した殺人事件の解決を託されることに……。


~感想~
歴史上の偉人の業績と本格ミステリを強引かつ緻密に組み上げる作者だが、今回ばかりはその豪腕がふるわれず。
ザビエルを探偵でも狂言回しでもワトソンでもない単なる背景にしてしまったのが最大の弱点。せっかくの題材がただの小粒な短編の雰囲気作りにしか貢献していない。
また、ザビエルの身近な人物に乗り移るという設定もいまいち生かされず、終章にてすべての短編がつながり裏の真相も明かされるが、取ってつけたような、とは言いすぎだかどうにも食い足りないもの。
作者のこれまでの作品群と比較してあまりにも格が落ちる。なんとももったいない。


08.10.14
評価:★★☆ 5
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