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ミステリ感想-『エデン』近藤史恵

2010年06月26日 | ミステリ感想
~あらすじ~
あれから三年。白石誓はたった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。
だが彼は、チームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。そしてまた悲劇が……。
ここは本当に「楽園」なのだろうか? 過酷なレースを走り抜けた白石誓が見出した結論とは。


~感想~
著者最大にして初のヒット作となった『サクリファイス』の続編。
前作を読んでいればより楽しめるが、こちらを先に読んでも問題はない。

まず前作との比較をすると、自転車ロードレースの楽しさはそのままに、しかもツール・ド・フランスというより大きな舞台での戦いを描くため、否が応にも盛り上がる。
前作のような明確にミステリしてる謎はないものの、個性的な選手たちと、解散寸前のチームという緊張感が物語に華を添える。やや唐突に起きる事件がちょっと浮いてしまった感があるが、だからといって邪魔になるわけではなく、ストーリー展開に深みと意外性を与えることに成功した。
とにかくシリーズが続いてくれたことが単純にうれしく、ミステリとしてどうかということは措いといて、チカの今後の活躍をもっと読みたくなる。先が楽しみでしかたないシリーズである。


10.6.14
評価:★★★☆ 7
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