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ミステリ感想-『貴族探偵』麻耶雄嵩

2010年06月28日 | ミステリ感想
~収録作品~
ウィーンの森の物語
トリッチ・トラッチ・ポルカ
こうもり
加速度円舞曲
春の声



~感想~
麻耶雄嵩五年ぶりの新刊ということで期待は大きかったが、あいかわらずすごいことをやってくれる。
今回もド本格の真ん中直球でありながら、見たこともない変化球を放たれ脳髄がしびれる。
白眉は「こうもり」で、ネタバレをすると作者の狙いは
(↓以下ネタバレ↓)
「地の文で嘘をつかなくてもフェアとは限らないよね?」 という誰もが考えつきそうで誰も考えつかなかった逆転の発想が冴えに冴えわたり、驚愕させてもらった。これは年間ベスト、いやオールタイムベスト級の短編。
他の4編もアベレージの高い外れなしの短編集。ほとんどギャグとしか思えない設定の貴族探偵にひるむことなく、本格ファンはぜひお試しあれ。


10.6.24
評価:★★★☆ 7
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