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ミステリ感想-『新宿鮫Ⅲ 屍蘭』大沢在昌

2010年06月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
犯罪者たちから「新宿鮫」と恐れられる、新宿署刑事・鮫島。
新宿の高級娼婦の元締め・浜倉が殺された。事件に迫る鮫島の前に浮かび上がる産婦人科医「釜石クリニック」。背後に潜む呪われた犯罪とは?
だが敵の完璧な罠が「新宿鮫」を追いつめる。シリーズ第3弾。
93年このミス15位・文春7位


~感想~
ほとんど武侠小説だった前作から一転、今回は静かなる暗殺者と、権力をあやつる魔性の女の二人の女が鮫島の相手となる。
自然、物語は落ち着いた展開を見せ、意外と普通の刑事小説な様相なのだが、それでも安定して読ませるのはさすがの腕。
力ではなく手練手管で鮫島を追い詰め、対する鮫島はその場その場で打てる最善手を打っていき、しのぎを削りあう緊迫感で最後まで引っ張っていってくれる。
シリーズ作品でありながらジャンルを限定しない意欲作であり、ハードボイルドだからと敬遠することはないだろう。


10.6.17
評価:★★★ 6
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