~あらすじ~
殺意の矛先は犬や猫、そして人間へ――。
小さな地方都市を震撼させる連続殺傷事件の容疑者は、県警本部長も務めた最上倉太朗。
"共感覚"探偵・音宮美夜は女子高生・城之内愛澄とともに捜査を開始する。だが最上は「私は音宮くんを殺したい」と宣戦布告。
狙われた探偵は、裏を知り尽くした男を追い詰められるか。
~感想~
メフィスト賞らしいとがったデビュー作『キョウカンカク』を放った作者による、シリーズ第二弾。
前作は前代未聞の犯行動機で度肝を抜いてくれたが、それに比べるとやはり今回はだいぶおとなしめ。
頻繁に切り替わる視点や厨二病な世界観もあいかわらずで、文章に上達の跡もうかがえないが、このシリーズでしかなしえない伏線や真相が冴える。
逆に言えば、読者には全く気づきようもない伏線と、推理のしようがない真相で、本格ミステリ的にはちょっと評価に困る代物なのだが、そもそもデビュー作であんな強烈な犯行動機を描いたこのシリーズがただの本格ではないことは明らかであり、むしろ『無貌伝』のようなファンタジィ系の作品と捉えるべきだろうか。
誤解の無いように言っておくと、この読者に気づきようのない伏線というのが、このシリーズならではの破格の伏線で、本作最大の見所でもある。
見所といえば、ちょっといい話でスイーツ(笑)も泣ける作品に落とし込めた場面で、作中ナンバーワンの毒をぶち込んでくるのも、この作者の非凡なところ。
もちろん続編を作る気も満々で、二作目にして主要キャラたちが早くも暗躍を始め、先を期待させてくれる。
『無貌伝』、『琅邪の鬼』にこのシリーズと、メフィスト賞作家の未来は明るい。
10.7.22
評価:★★★ 6
殺意の矛先は犬や猫、そして人間へ――。
小さな地方都市を震撼させる連続殺傷事件の容疑者は、県警本部長も務めた最上倉太朗。
"共感覚"探偵・音宮美夜は女子高生・城之内愛澄とともに捜査を開始する。だが最上は「私は音宮くんを殺したい」と宣戦布告。
狙われた探偵は、裏を知り尽くした男を追い詰められるか。
~感想~
メフィスト賞らしいとがったデビュー作『キョウカンカク』を放った作者による、シリーズ第二弾。
前作は前代未聞の犯行動機で度肝を抜いてくれたが、それに比べるとやはり今回はだいぶおとなしめ。
頻繁に切り替わる視点や厨二病な世界観もあいかわらずで、文章に上達の跡もうかがえないが、このシリーズでしかなしえない伏線や真相が冴える。
逆に言えば、読者には全く気づきようもない伏線と、推理のしようがない真相で、本格ミステリ的にはちょっと評価に困る代物なのだが、そもそもデビュー作であんな強烈な犯行動機を描いたこのシリーズがただの本格ではないことは明らかであり、むしろ『無貌伝』のようなファンタジィ系の作品と捉えるべきだろうか。
誤解の無いように言っておくと、この読者に気づきようのない伏線というのが、このシリーズならではの破格の伏線で、本作最大の見所でもある。
見所といえば、ちょっといい話でスイーツ(笑)も泣ける作品に落とし込めた場面で、作中ナンバーワンの毒をぶち込んでくるのも、この作者の非凡なところ。
もちろん続編を作る気も満々で、二作目にして主要キャラたちが早くも暗躍を始め、先を期待させてくれる。
『無貌伝』、『琅邪の鬼』にこのシリーズと、メフィスト賞作家の未来は明るい。
10.7.22
評価:★★★ 6