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ミステリ感想-『嘘』北國浩二

2011年12月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
幼い息子を亡くした過去にさいなまれる千紗子は、認知症となった父が一人住む田舎へやってきた。
父との間には確執があり、長く絶縁状態であったが、父はもはや娘の顔すら忘れていた。
再会した旧友とうさ晴らしに飲んだ帰り道で少年を車ではねてしまい、その身体に虐待の跡を見つけた千紗子は、彼を自分の子供として育てることに……。


~感想~
北國浩二とはどういうジャンルに属する作家なのか、ちょっと誤解していたのかもしれない。
個人的にマストに近かった傑作『リバース』、口に合わず物足りなかったが趣向は買えた『サニーサイド・スーサイド』と来て、これは正直、面食らった。
野球にたとえるならば、あまりにド真ん中過ぎて、思わず手が出なかったというところ。もう、一言で言うならば「そのまんま」だ。
序盤、物語が大きく動き、落ち着きを見せ始めた頃からはもう、最後まで一直線である。
プロット、展開、真相、破綻となにもかもが想定内で動きまわり、予想した通りの所に止まるため、まるで予定調和のように意外性がない。
ブンガクならばこれで必要にして十分だろうが、ミステリとして読むにはあまりに起伏が乏しすぎる。
狐につままれたような心持ちで読み終えてしまったが、話自体が面白かったので、悪い点は付けられないのだが……。


11.12.9
評価:★★★ 6
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