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ミステリ感想-『泡の女』笹沢左保

2015年05月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
木塚夏子は、父が旅行先で首を吊って死んだという急報に接する。
さらに職場結婚した夫が容疑者として勾留され、起訴されるまであと3日。
夏子は単身で捜査を開始するが、思いも寄らない事実が次々と浮かび上がる。


~感想~
被害者の娘で容疑者の妻というアドバンテージはあるものの、刑事顔負けの捜査能力で次々と新事実を突き止めるヒロインの敏腕ぶりは多少無茶ながら(当時の時代背景とはいえ医者が電話でほいほい個人情報を漏らすガバガバぶりには笑った)そうして浮かび上がる事実がどれも意外で興味を引く。
最終章、些細なきっかけから明らかとなる真相は思わず目を剥くこと請け合いで、それと同時に説明されずとも背景が一気に理解できるのも見事。
捜査に費やしたのはたったの3日、余韻を残すラストシーンまでわずか200ページ強と、2時間ドラマさながらの設定でここまで意外な物語を仕上げてみせた作者の力量たるや恐るべし。一気読み必至のスピード感あふれる快作である。


15.5.18
評価:★★★☆ 7
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