~感想~
文庫版でタイトル含めわずか12ページの掌編だけを21話集めた作品集。
尺が短いにも関わらず必ずどんでん返しを仕込んだため、逆に疑って掛かってしまいオチが見え見えで、はじめのうちはいくら連城でも無理ゲーなのではと思うが、読み進めていくうちに気にならなくなり、予定調和のような物語を素直に楽しめる。
何編か好みを挙げると「鞄の中身」はもうサイコパスとしか呼べない某氏の言動がいちいち恐ろしく、「まわり道」はそこしかないという落とし所に綺麗に着地、ひとつきりのどんでん返しが見事に決まる「ねずみ花火」に、あやふやな結末がかえって素晴らしい「ガラスの小さな輝き」と、終わってみれば佳作があるわあるわ。
それにしてもネタバレ覚悟で掌編にも何がしかの仕掛けを施さずにはおれない、綾辻行人の言葉を借りれば連城の「ミステリ作家の業」を感じずにはいられない一冊で、こんなものを発表していながらミステリを書かなくなったとか、恋愛小説家になったとか陰口を叩かれていた氏の心境はいかばかりか、と思いたくなる。
なおまったくの余談だが文庫版の解説はもうまじりっけなし100%のいわゆる「女の解説」でこれにはさすがに苦笑いした。
15.10.6
評価:★★★ 6
文庫版でタイトル含めわずか12ページの掌編だけを21話集めた作品集。
尺が短いにも関わらず必ずどんでん返しを仕込んだため、逆に疑って掛かってしまいオチが見え見えで、はじめのうちはいくら連城でも無理ゲーなのではと思うが、読み進めていくうちに気にならなくなり、予定調和のような物語を素直に楽しめる。
何編か好みを挙げると「鞄の中身」はもうサイコパスとしか呼べない某氏の言動がいちいち恐ろしく、「まわり道」はそこしかないという落とし所に綺麗に着地、ひとつきりのどんでん返しが見事に決まる「ねずみ花火」に、あやふやな結末がかえって素晴らしい「ガラスの小さな輝き」と、終わってみれば佳作があるわあるわ。
それにしてもネタバレ覚悟で掌編にも何がしかの仕掛けを施さずにはおれない、綾辻行人の言葉を借りれば連城の「ミステリ作家の業」を感じずにはいられない一冊で、こんなものを発表していながらミステリを書かなくなったとか、恋愛小説家になったとか陰口を叩かれていた氏の心境はいかばかりか、と思いたくなる。
なおまったくの余談だが文庫版の解説はもうまじりっけなし100%のいわゆる「女の解説」でこれにはさすがに苦笑いした。
15.10.6
評価:★★★ 6