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ミステリ感想-『七日間の身代金』岡嶋二人

2016年05月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
富豪の未亡人の鳥羽須磨子。友人である彼女から弟と義理の息子を誘拐されたと相談された千秋は、恋人の要之介とともに、身代金を手に車を走らせる須磨子の後を追う。
千秋は警察署長である父に助けを求め、身代金の受け渡し現場を包囲するが、密室状態の小島から犯人と身代金が姿を消してしまう。


~感想~
「人さらいの岡嶋二人」の異名を持つ作者による誘拐ミステリ。だが中盤からは誘拐物のジャンルから離れ、奇妙な密室と人物消失、そして鉄壁のアリバイ崩しに重点が移るという構成が光る。
2つの密室はわりと力任せに解かれるものの、事件の周囲で相次いだ不可解な人物消失や無数の手掛かりが最終的に一つにつながっていき、合間に探偵コンビの恋愛模様が描かれ、最後は犯人の鬼気迫るマシンガントークで背景が余さず語られる、と実に無駄のない作品。
密室のあっけなさは少々物足りなかったが、岡嶋二人の長所と魅力を凝縮させたような秀作である。


16.5.17
評価:★★★ 6
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