~あらすじ~
琵琶湖畔にそびえる怪建築群「綺想宮」を訪れた森江春策を待ち受けていたのは、西澤保彦作品みたいな難読姓名の8人と、「匣の中の失楽」みたいな衒学の洪水。
天地創造の七日間を表わす曲が奏でられる中、次から次へと起こる殺人事件。
本格ミステリを愛し、その神髄を知り抜いた著者が「探偵小説の最期」に捧ぐ訣別の書!
2010年このミス10位、文春8位、本ミス4位、本格ミステリ大賞候補
~感想~
作者はあとがきで「この世で一番嫌いなアンチミステリをひょっとして書いてしまったのだろうか」と言っているがこれがアンチミステリじゃなかったら何をアンチミステリと呼べばいいのだろうか。
名前と概要はミステリマニアなら誰もが知っているが、概要だけで怖気をふるい読む人のごく少ない、かの小栗虫太郎「黒死館殺人事件」に芦辺拓は真っ向から対峙し、しかし重機で館ごと根こそぎ引っくり返し、ついでにダイナマイトで完膚なきまでに爆散させてしまった。
ペダンチックに超ウゼえ衒学の螺鈿細工が延々と描かれ、面白くなるのは最後の最後だけで、それも見えない相手に超上から目線で罵詈雑言の限りを尽くし、それに収まらず全方面に喧嘩を売っていくファイトスタイルにはドン引き。
作者がメフィスト賞作家とかだったら「うるせー!」とぶん殴って本を真っ二つにすればいいのだが、ミステリ界に多大な貢献をしてきた芦辺拓となると(́◉◞౪◟◉)こんな顔や( ΄◞ิ .̫.̫ ◟ิ‵)こんな顔をせざるを得ない。
概要を聞くだけでもうかがえる通りの労作である。歴代でも3本の指に入るのではと思うほどの参考文献の山には驚きを通り越してもはやドン引きであり、それだけの苦労をしておきながら作中では全てをブッ壊し、シリーズ最大級の巨悪をこれ以上ないほどの方法で粉砕する。
ミステリ界広しといえども芦辺拓にしか書き得ない驚異の作品であることは間違いない。
だが読者の感想はおそらくジャイアンシチューを食べたのび太・静香・スネ夫ら三人のうちのいずれかになるだろう。自分の感想はスネ夫と同じである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/37/5b/e45fd62570fdf59d4e4e03b47717e2e5_s.jpg)
色々とくさしたが以前、麻耶雄嵩「メルカトルかく語りき」の感想で「もし本格ミステリが終焉を迎えるとして、最期の日に読まれるべき作品はこれだろう」と書いたが、本作はより最期の日にふさわしい一冊だと思う。
18.6.20
評価:★★★ 6
琵琶湖畔にそびえる怪建築群「綺想宮」を訪れた森江春策を待ち受けていたのは、西澤保彦作品みたいな難読姓名の8人と、「匣の中の失楽」みたいな衒学の洪水。
天地創造の七日間を表わす曲が奏でられる中、次から次へと起こる殺人事件。
本格ミステリを愛し、その神髄を知り抜いた著者が「探偵小説の最期」に捧ぐ訣別の書!
2010年このミス10位、文春8位、本ミス4位、本格ミステリ大賞候補
~感想~
作者はあとがきで「この世で一番嫌いなアンチミステリをひょっとして書いてしまったのだろうか」と言っているがこれがアンチミステリじゃなかったら何をアンチミステリと呼べばいいのだろうか。
名前と概要はミステリマニアなら誰もが知っているが、概要だけで怖気をふるい読む人のごく少ない、かの小栗虫太郎「黒死館殺人事件」に芦辺拓は真っ向から対峙し、しかし重機で館ごと根こそぎ引っくり返し、ついでにダイナマイトで完膚なきまでに爆散させてしまった。
ペダンチックに超ウゼえ衒学の螺鈿細工が延々と描かれ、面白くなるのは最後の最後だけで、それも見えない相手に超上から目線で罵詈雑言の限りを尽くし、それに収まらず全方面に喧嘩を売っていくファイトスタイルにはドン引き。
作者がメフィスト賞作家とかだったら「うるせー!」とぶん殴って本を真っ二つにすればいいのだが、ミステリ界に多大な貢献をしてきた芦辺拓となると(́◉◞౪◟◉)こんな顔や( ΄◞ิ .̫.̫ ◟ิ‵)こんな顔をせざるを得ない。
概要を聞くだけでもうかがえる通りの労作である。歴代でも3本の指に入るのではと思うほどの参考文献の山には驚きを通り越してもはやドン引きであり、それだけの苦労をしておきながら作中では全てをブッ壊し、シリーズ最大級の巨悪をこれ以上ないほどの方法で粉砕する。
ミステリ界広しといえども芦辺拓にしか書き得ない驚異の作品であることは間違いない。
だが読者の感想はおそらくジャイアンシチューを食べたのび太・静香・スネ夫ら三人のうちのいずれかになるだろう。自分の感想はスネ夫と同じである。
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色々とくさしたが以前、麻耶雄嵩「メルカトルかく語りき」の感想で「もし本格ミステリが終焉を迎えるとして、最期の日に読まれるべき作品はこれだろう」と書いたが、本作はより最期の日にふさわしい一冊だと思う。
18.6.20
評価:★★★ 6