小金沢ライブラリー

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映画感想-『フォーンブース』

2006年01月07日 | 映画感想

~あらすじ~
自称一流パブリストのスチュは、汚い手管で他人を出し抜き騙す毎日。
いつものように公衆電話から浮気相手に電話をかけていると、突然見知らぬ男からの電話が。
男はスチュの私生活を熟知し「電話ボックスから出たら殺す」と脅し……。


~感想~
うーむ。あっと驚く仕掛けが皆無だったのが厳しい。
駆け引きに緊張感はあったが、突き抜けるところまでは行かず、すべての要素が予想の範疇に収まった。
の手の作品は、アクションや映像で見せられない分、ストーリーがとんでもない所まで転がって行かなくてはいけないのに、目に見える範囲で止まってしまった。
極端な話、舞台劇や短編小説で語るにも十分な内容で、わざわざ映画にした意図が不明である。
まあ、スチュ役のコリン・ファレルの顔の演技が抜群で、80分という短軸を退屈せずに最後まで見られたんですけども。


評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『蚊取湖殺人事件』泡坂妻夫

2006年01月04日 | ミステリ感想
~収録作品~
雪の絵画教室
えへんの守
念力時計
蚊取湖殺人事件
銀の靴殺人事件
秘宝館の秘密
紋の神様


~感想~
密室あり奇術あり紋章上絵師ありと、泡坂妻夫の要素がぎっしり詰まった作品集。
ひさびさに全盛期の頃のキレが感じられる『雪の絵画教室』を筆頭に、円熟の筆の冴えがうなる。
たとえば『紋の神様』など、べつにどうということもない単純な筋なのだが、氏の手にかかると、この上なく味わい深い逸品へと仕上がってしまう。
ひさしくキレを欠いていると危ぶんでいただけに、このきらめく短編群は実にうれしい。
泡坂妻夫、いまだ健在。まさに枯淡の境地。


06.01.02
評価:★★★☆ 7
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