東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

孫崎亨「戦後史の正体」

2012-09-11 22:55:06 | 国際・政治
進行形書評:全体で370ページほど、現在70ページあたり。
著者は元外務省情報局長で退官後防衛大学の教師もしたらしい。

最近インターネットで小評判になっているというので買ってみた。

「高校生でも読める」と著者は胸をはるが、とても読み難い。1945年から2012年までの日米関係史を書こうというのだから(370ページで)相当の文才がいる。本全体の構成を考えることも文才のうちにいれて。

ワン・シッテイングで70ページ。興味索漠として巻を置く。終戦直後の記述、そうかなとも思うし、そうだろうか、と思う。あまりにも単純だ。

70ページでまだ1947年あたりをうろうろ。著者はいくつかなと見ると1943年生まれ、まだ本人が3、4歳のころだ。資料分析なら年齢は関係ないだろうが、時代を生き生きと活写するにはちと無理がある。

当方が一番知りたいのは高度成長期の繊維摩擦や自動車摩擦などの経済摩擦にアメリカがいかに汚い手練手管を使ったのか(素人にはそのように見えた)、冷戦終結後のクリントンのときに一番ひどかった日本たたきの内情などだ。目次を見るとこの期間に充てているのはせいぜい20ページだ。ひどいじゃないか。この頃は孫崎さんも役人として油の乗り切っていた頃で一番詳しく書けるところだろう。

そこをすっぽかすなんて。おそらく自分や同僚が直接関与したから、書きにくいというのだろう(聞かれればそう答えるに違いない)。それはないんじゃないの。

それから巻末に年表があるが、人名だけで、その時の日米問題、係争問題が入っていない。それが一番重要なんじゃないのか。

ま、このごろの若い連中は日本がアメリカと戦争したことも知らないというから、ある程度の意味はあるのかもしれない。

従軍慰安婦なんて日本の専売特許みたいにヤクザのゆすりのように利用する国があるが、日本にも至る所に米兵用の慰安所があったということを勉強するのもいいだろう。俺の町内にも将校用の慰安所があったものな。