東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

「幻」の日本爆撃計画2

2008-12-18 10:11:57 | 社会・経済

+++ 焼夷弾 +++

焼夷弾という言葉が分かる人たちが今の日本でどれだけいるか。燃え残りの実物を見たりさわったりした小生には、特別の感慨を催させる言葉である。

要するに民間人の大量虐殺のみを目的としてアメリカ軍が開発した殺人装置である。油脂や黄燐をしみ込ませた布を大量に束ねて上空から民間家屋の上に散布するものである。

爆弾と違い破壊力は小さい。また焼夷系の兵器として開発されたナパーム弾のように瞬間的な殺傷力もない。一弾で広範囲な目標を瞬時に破壊することもない。したがって鉄とコンクリートで出来た軍事施設にはまったく効果がない。

また、野外に展開する軍隊や移動中の訓練された兵隊たちを攻撃するには非効率的なものである。

それは民間人の、とくに日本の可燃性の高い家屋の密集した地域に恐ろしいまでの虐殺力を発揮する悪魔の兵器である。その非人道性、大量虐殺性は細菌、生物化学兵器以上である。

日本爆撃には当初から焼夷弾を使うことが決まっていた。はじめから軍事拠点ではなくて人口密集地帯の民間人居住地区を狙ったものだ。シナ本土から傭兵を使って爆撃する幻の計画でもそうだし、昭和19年から始まったグアム、サイパン、テニアンからの実際の日本本土空襲でもそうだった。

そのためにアメリカは虐殺を手際よく行うために段取りを考えた。なにしろオペレーション・リサーチの国だからね。

昭和二十年三月の東京大空襲ではまず偵察機が日本上空に飛来、東京上空の気象条件を調べて後続編隊に打電する。快晴、視界良し。強風、火つけに絶好と打電する。

日本の防空部隊はこの偵察機を空襲と誤解した。したがって偵察機が関東上空を離脱すると警戒警報を解除してしまった。やれやれと人々が防空壕からはい出してきたところにB29の大編隊が飛来する。これがいやがうえにも被害を増大した。

まず深川本所が入る地域の外延を丸く囲う円環に焼夷弾を投下する。こうして炎の中に住民を閉じ込めて逃げられないようにしてから円環の中に焼夷弾を投下していく。ちょうどマンションの床に隙間なく絨毯を敷き詰める要領である。

英語ではcarpet bombinng あるいは pattern bombing という。

3月10日夜の二時間で東京都民の死者は10万になった。

ちなみにサンフランシスコ平和条約では東京大空襲をはじめとする無差別都市爆撃と原爆投下の罪を追及する権利も日本は放棄している。サンフランシスコ条約はなにも東京裁判の判決を認めるとか認めないとかの問題だけではなのだ。

この本「幻の日本爆撃計画」をよんで日米開戦の数年前からアメリカはすでに民間人大量虐殺用の焼夷弾を使用した宣戦布告なしの先制奇襲攻撃方針が決定していたことを知った。銘記すべきことである。