2場所出場停止の処分が決まった。今回は相撲協会も迅速に対処した。この処分が重いか、軽いか。おそらく重過ぎるという議論は成り立つまい。問題は適切か、軽すぎるかという議論だろう。
前に述べた昭和22年に来日中のアメリカ3Aの野球を観戦して引退させられた横綱前田山と比べてどうかということだ。
年齢の問題、前田山は当時すでに33歳、朝はたしか26歳くらいだヨネ。まだ盛りを過ぎたという感じもしない。改悛の情著しければもう一花咲かせてやろうという人情論もあろう。
問題の悪質性では朝のほうだろう。前田山は休場中だったが病気だったかどうか。しかし、野球見物だけなら病名にもよるが観戦くらいできるかもしれない(物理的にという意味ヨ)。朝はサッカーをやったからね。あきらかに仮病でうそをついている。
社会情勢はどうか、敗戦直後で国技館はアメリカ軍に取り上げられていた。たしかアーニーパイル劇場とか名前を変えてアメリカ兵の慰安施設になっていた(メモリアル・ホールと書いてある資料もある)。国技という誇りのある相撲協会としては、横綱ともあろうものが敵性(アメリカということヨ)スポーツにうつつを抜かすとは許せないことだったろう。今はこういう問題はない。
当時は両国国技館を追い出された大相撲は、蔵前国技館というのを作って、そこで本場所が行われていた。私も行ったことがあるが、木造で急造した田舎の芝居小屋のような雰囲気で柱なんか丸太がむき出しでしかも傾いている柱もある始末だった。かっての国技館はアメリカ兵のためのジャズやらショーの舞台となっている。前田山の行為は吐き気の出るようなものだったろう。
なお、蔵前国技館は昭和29年鉄筋コンクリートの建物に立替られて昭和60年まで、今の両国国技館が出来るまで大相撲の舞台だった。
ま、謹慎中の「朝」の行状を見て、更なる処分もあるぞヨという含みを残したということなのだろう。
アナウンサーが代読する「朝」のコメントは意外に殊勝なものだネ。もっとも従来から彼のマスコミ向けの発言は年に似合わず「適切」なものだと感心している。赤城ストライプ男よりははるかに日本語の対応がうまく、精神年齢は前農林大臣より上で世慣れたものだ。
もし、テレビカメラの前に顔を出さないでコメントしたのが、謹慎中だということを計算した上でのものであれば、近頃の日本の若者よりかはるかに立場をわきまえたものだ。