そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

日本農業は過保護か?

2007-03-28 | 国際・政治

韓米自由貿易協定(FTA)交渉が難航している。農業分野でアメリカは韓国に、牛肉輸入の前面開放を迫っている。まPhoto_100た、韓国はコメを開放品目から除外を主張しているが、アメリカは農産物の例外を認めようとしない。ところが、韓国は繊維部門では、5年以内の全品目の関税撤廃を望んでいるが、アメリカはセーフガードの認定などを主張しているとい った具合である。が、日米交渉のように一方的にアメリカに押し切られていないのがわかる。

農産物自由貿易交渉では、どこの国でも農産物が障害のように見れる。しかしそれは、見方の問題あるいは国家としての考え方の相違であるといえる。こうした報道を受けて、日本は農業を過保護にしているとする意見を時折聞くが、それは日本の農業の現状を全く理解していない発言だと言える。

保護されすぎている国の食料自給率がこんなに低くなるはずがない。農業が十分に保護されているのなら、もっと食料自給率が高くなるべきなのである。国家予算の僅か10%に満たない予算しか持たずに、しかもその多くが「周辺整備事業」などと称される公共土木事業が多く、農民や食料に還元される事業となると限られるのが現状である。

EUは統合に向けて、農業政策の統一などを図ろうとしている。その骨子は、農業を食料生産の確かな位置づけと、水や空気を浄化し景観としての農村を強く意識したものである。日本も、外枠や言葉だけを真似た農政がスタートしたが、金をばら撒く思想に変わりはない。

そのいい例が「中産間事業」と言うものである。全国一律に、環境や歴史や地形や社会的条件など考慮せずに、市街に対しての人口密度で仕切られ、実体は奨励事業と称する、農民への金を配布するだけのじぎょうであった。それを見て、農家は何もやっていないのに保護されていると、とりわけ中小業者が思うのは当然である。しかし、実態は限界集落と称される、10年ほどで消滅する地域が2640も存在し、更に増加の傾向にある。

日本の農業政策は、農民にあるいは農民もどきに金をばら撒いているが、決して食料に金をつぎ込んでいないのである。拙書参考下さい。

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問うそりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港