ドイツで行われたハイリンゲンサミットで気がついたことがある。議長国のドイツのメリケル首相は、東ドイツ出身である。 彼女は、旧ソビエトに留学経験を持つ物理学者である。
サミット直前の選挙を制して、フランス大統領になったサルコジ氏は旧東欧ハン ガリーの難民の子である。この二人とも、日本の政治土壌なら決して選出されることはなかったものと思われる。
EUの中心的メンバーであるフランスとドイツの指導者が、いわば異端の側から選出されたことに注目したい。二人とも、直接投票の接戦を制して指導者の地位を得たことも注目したい。
イギリスのブレア氏は弁護士からの転身であり、後継になるブラウン氏は歴史学者であった。同じくイタリアのプロディー氏は経済学者、カナダのハーバー氏はカナダ保守党の鍛え上げである。ロシアのプーチンは言わずと知れた悪名高いKGB出身である。いずれもが、それぞれの分野で築き上げてきた地位を得た人たちである。
後の残りの二人は、日本の阿倍晋三とアメリカのブッシュ大統領である。 この二人は、父親たちの政治的財産の上に政界にでてきた、何の苦労もないお坊っちゃまである。特に親の七光りどころか、祖父と大叔父と父親の21光で輝いている、阿倍ボンは見事なものである。阿倍ボンもブッシュも、苦労知らず世間知らずの単細胞政策が目につくのも、もっともな背景である。
この二人に、北朝鮮の金王朝とも言える世襲制の政治体制を、非難する資格がそもそもあるのだろうか。