そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

フィリッピンに学ぶ食糧自給

2008-05-06 | 政治と金

フィリッピンで米暴動が起きそうな勢いである。一部地域で米騒動が起きているようであるが、政府は認めていない。国内価格は、たった2ヶ月で30%も値上がりを見せている。

フィリッピンの人たちの主食は、日本同様にお米である。フィリッピン政府の農政の失敗、あるいは工業化への転換を志向したあおりで、国内のコメの生産が急速に悪化してきている。特に昨年は不作であった。

世界の穀物価格が急騰している。日本では、家畜用飼料や小麦それに大豆の高騰ばかりが報道されている。FAOの報告によると、1998年-2000年の米の国際価格指数を100としたPhoto場合、現在は216にもなるとされている。

この数年米生産量が急激に落ち込み、輸入に頼っているいるフィリッピンにとっては、死活問題である。加えて、米を依存していたヴェトナムもタイも輸出制限に踏み切った。

国内の備蓄は十分あると、アロヨ大統領が宣言しても、現実には備蓄も底をついたようである。先月政府は、食料局(NFA)は貧困層に対して米カードの配布を検討したが、実現していないようでもある。

フィリッピンは世界最大の米輸入国である。ここの備蓄がなくなったことが、国際価格をさらに高騰させたのである。加えて、米消費大国の中国やインドの経済成長、工業化への転換も大きく影響している。

翻って、日本ではなぜ米の国際価格の高騰が問題にされないのか? 答えは簡単明瞭である。日本は米をほとんど自給しているからである。

小麦が上がった、大豆が上がった、家畜飼料が上がった、と報道は騒ぐ前に、米を十分食べている日本の現状をしっかり認識する必要がある。

多少の問題を残しながらでも、自給することがいかに大切なことであるかをフィリッピンの現状は教えてくれている。食糧輸入賛成論者には、この際じっくり考えていただきたい。

フィリッピンの米騒動に、日本の食料自給率問題を投影してみると、いかに食糧の自給が必要なことかが分かる。

コメント (1)
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