そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

お米を検証する

2008-05-29 | 政治と金

いわゆる減反政策と呼ばれているものは、恒久法などではなく年度ごとに取り決められた、いわば申し合わせのような生産調整対策である。30年近い、「減反政策」と呼ばれる生産調整に使われた補助金は、3兆円にもなる。

減反や転作を奨励し金を出しながらも、片方で諫早に見られるように農地造成をやってきた。まる01で一国二制度の間抜けた政策である。しかも、諫早干拓事業や農業用ダムや新たな農地造成の多くは、環境破壊そのものであった。

昨年完成した道東のあるダムなど、40年前には、水田対策としておきながら減反政策が進むと、畑作用に切り替えさらに農家戸数が減って来ると、多目的ダムと言い換えてきた。

この間にも、土木事業は全く取りやめることなどなく、完成してしまった。今や無目的ダムである。農業は、土木事業に食い物にされてきたのである。

お米は、現在800万トンほど生産されているが、細川内閣の時に段階的に輸入を決められている。国内の過不足とは無関係に、定量を輸入しなければならない。現在70万トンほど輸入されている。

この70万トンはおよそ、数万トンが毎年売れ残ってゆく。現在は輸入米の在庫量は、150万トンにもなっている。国内産も20万トン近くが売れ残っている。

政府は、この残っている米を海外へ緊急援助することを検討している。米作りをやめると金出す政策のかたほうで、輸入しておきながらそれを海外に持って行く? 減反政策で見られたような、一国二制度のような矛盾を、またしてもやろうとしているのである。

もう慣れっこになってしまったが、どうしてこの国の政策は一貫しないのだろうか。基本的なことを蔑ろにして、目先だけのことに執着しているからである。

日本の食料自給率が低いのは、「いまさらどうにもならない」論議ではなく、戦後どのような農業政策を選択してきたかを検証しないで、論ずることができない。

とりわけ、まるで主食のお米を生産することが悪行であるような政策の下、懸命に田んぼに稲穂を実らせてきた農民の苦労を理解しなければならない。平均年齢が六五歳をすぎた彼らこそ、日本農業について語る資格がある。

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