民放でも地道なドキュメントを作り上げるものである。民放はゴールデンタイムには、ゲーノージンの馬鹿番組ばかりタレ流している。地道なドキュメント番組は、例外なく深夜に放送される。その典型が、読売系の日曜深夜(月曜になったばかりの午前1時前後)に放送される「ドキュメント10」である。来年は11になるだろうこの番組は、右寄りの読売でも差別を受けながらも消えることがなく、深夜に20年ほど続いている。
昨夜、フジテレビ系の深夜番組で放送された「激突政と官」もそうした番組である。政権交代で、官僚の中には大きな疑問を抱いた人たちもいた。彼らは懸命に、従来の官僚構造の変革を試みていた。政権交代で動いた。民主党の官僚上がりの若い議員が懸命に、ベテランの現役官僚にくらいついていた。こうした真摯に官僚機構に挑む、若い民主党議員の姿を番組は一年にわたって追い続けていた。
ところが、肝心の民主党そのものが党首の、不遜から瓦解していくのである。かつては官僚を「馬鹿」呼ばわりし政治主導を掲げたた、菅直人が党首になり現場で取り組む、若き民主党議員や元官僚たちがすげ替えるられてゆく。
官僚は特定の専門知識に長けたプロフェッショナルたちである。その集団は、さまざまな理由の元に、いくつもに複雑に分割されている。半年くらいで、ほとんど素人の政治家たちに、改革などできるわけない。内容すら理解できない。それでも、いくつかのことは途についたばかりなのであるが、それすらも党内のゴタゴタから解任されてしまう。
政治主導どころか、改革そのものもおぼつかない現状に陥っている。民主党党首は、沖縄県民の期待を裏切ったことに象徴的であるが、民主党内の若い改革の力すら削いでしまっているのである。期待を持たせたという意味で、より一層傷は深い。かといって、いまさらこのようなシステムを作り上げた自民党に戻るのもどうかと思われる。この国の不幸は、二大政党のどうしても抜け出せない官僚依存体質にあると言える。