そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

口蹄疫と鳥インフルエンザ

2010-12-01 | 政治と金

島根県安来市の養鶏場で死んだ、5羽の内3羽が鳥インフルエンザと断定された。ウイルス型は101201H5亜型で、数日以内に特定される見込みであるが、死亡しているところから高病性が疑われている。成鶏3万羽と幼鶏3300羽が殺処分される見込みである。

この前日、11月28日に韓国で口蹄疫の発生が確認された。韓国では今年1月に口蹄疫の発生があったが、9月にOIE(国際獣疫局)から清浄国の認定を受けたばかりである。今回の発生は豚である。2戸の養豚農家での発生が確認された。2戸で9000頭である。

島根の鳥インフルエンザの侵入経路は確認されたいないが、野鳥が疑われ現在調査中である。韓国の口蹄疫の発生についての詳細は不明である。

日本はとにかく、きめ細かい対応が得意である。島根の鳥インフルエンザの発生についても、今回は初期対応が適正に行われているようである。韓国の今年の口蹄疫の発生は、発生頭数は日本の宮崎ほどではなかったものの、半島全土に及んでいた感がある。韓国もそれなりの対応をやっていたはずと思われるが、今回の発生を見ていると、どこかに不十分なところがあったことが伺われる。

韓国はそれでもいい方である。中国の農村部やモンゴルでは、発生の事実すら明確に確認されているわけではない。法的な整備も十分ではない。発生後の対応もとても十分とはいえない。口蹄疫は死ぬほどの病気ではない。この病気がどのような形で発生しているのかあるいはまん延しているのかの情報もない。

かつてソビエトでチェルノーブイリで原発事故があった時に、法的な整備はもちろんのこと、事故に対する対応も準備されてはいなかったし、国民には知らされることもなく、そうしたインフラ整備もなかった。法的な制約も情報公開もまったくされなかった。要するに、事故を前提にした対応が何一つ準備されていなかったことが解った。

鳥インフルエンザも口蹄疫の発生も、日本ほど最悪の事故を想定し対応する国家は周辺にはない。TPPなどでは、価格ばかりで農産物を評価するが、日ごろから食に対する安全についての農家の努力や労力についての評価は、こうした経済問題の中では無視されているのが現状である。

食糧は価格だけではなく、質的な問題も含めた安全こそ優先されるべきであって、消費者は農家のそうした労力と努力に対価を払うべきなのである。安いのには理由があるからである。

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