クリミヤ半島をまんまとロシアに併合させた、プーチンの勢いが止まらない。そもそも、ウクライナには正当な政権がなく『暫定』という冠詞を付けて、現政権を報道は呼んでいる。
その暫定政権は、ロシア寄りのヤヌコービッチは街頭デモで追放され
、現政権がとって代わったのである。一種の革命であるが、街頭デモの若者たちは日本円にして3000円の日当を貰っていた。資金提供者はアメリカである。そうしたことを見越して、ロシアはかなり強引にクリミヤを併合した。
更に、ロシアには天然ガスという強力なバックがある。EUが最終的にロシアに立て付けないことを見越しているのである。プーチンは周到な計算の上の、ウクライナでも最もロシアに近いクリミヤの併合であ
る。
同様にウクライナ東部のロシア寄り地区を、支配下に置きたい強い意図を持っている。多分プーチンは、ロシア併合ではなく自治区などとして、やや穏健に扱う腹づもりであろう。
然し、現在の動きを見ていると、どうも東部で暗躍している暴力集団は、ロシア兵かロシアで訓練された人物たちあると思われる。プーチンは建前で強く否定している。
クリミアの東部はロシア系の住民が多勢であるが、ロシアがこの救済に動く権利はあると、プーチンは言う。安倍の好きな、集団的自衛権であろう。キエフ(暫定政権)は決定的な軍事行動はとれない。
G8から外され経済制裁を受けても、一連のプーチンの選択は圧倒的に国民から支持されている。一度は凋落したロシア(ソビエト連邦)の復活を夢見ているからである。
ソビエト崩壊時に、チェルノブイリの負の遺産を背負い、多量の核兵器をロシアに渡し、西側に寄り添ったウクライナである。その動きを大きく裏切ったのはアメリカである。ウクライナを今一度ロシア側に呼び戻そうとする、経済復興を成し遂げつつあるロシアの野望と、EUの軟弱さが大国に挟まれたウクライナの悲劇である。
真に平和を望むのであれば、強者あるいは多数者が、弱者あるいは少数者あるいは僻地の声を丁寧に聴かなければならない。暴力的に解決した20世紀は終焉した。大国の寛容が求められる。が、ロシアにもアメリカにもEUもその動きはない。