そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

国権が侵されるTPP、アメリカも気が付き始めた

2015-05-07 | 国際・政治
選挙の時には、票が欲しくてTPP絶対反対を訴えていた、安倍自民党である。特に田舎では、声を大にして自民党候補が訴えていた。ところが選挙が終わると、そそくさとアメリカと交渉に入っている。この段階で自民党が、公約違反で国民を裏切っていると報道されるべきであるが、それこそあらゆる報道機関が粛々とか淡々と事実だけを報じている。
TPPは交渉内容が複雑で、それぞれに専門知識が高度に求められることが少なくない。安倍訪米の前には、甘利担当大臣が「今夜はやまである」と深刻な顔で、マイクの前に立って喋っていた。嘘である。何日経っても交渉の事実が報道されるだけである。

それではアメリカはどうかと言えば、ようやくTPPがもたらす諸問題に今頃気が付き始めている。次期民主党大統領候補として、最右翼のヒラリー・クリントン女史が反対の立場を明確にした。更に、同じくく民主党候補のウオーレン上院議員も、反対の立場を明確にした。
ウオーレン議員は、「ISD条項は、環境団体や労働団体にも与えられていない保護を国際的企業に与えて、アメリカの規制を骨抜きにする」と、強く反対を主張している。清浄な感覚と言える。ISD条項とは、企業が利益を損ねたと、国家を訴えることができる条項である。訴える先は世界銀行である。上告はない。
今年3月11日に、アメリカの法学者129名が連名で議会の抗議文を提出している。内容はISD条項は反民主主義、反法治制度であるというのである。これまではNAFTAで、メキシコ、カナダの企業が訴えられてすべて敗北している。日本との関係などになれば、アメリカが勝てない可能性が生じるために、彼らが騒ぎはじめたのである。
共和党を支える、Tea Party(茶会)はもともと自由貿易推進派であるが、ISD条項に対して国権を損ねると言い出している。来年の大統領選挙を視野に入れて、TPPの姿に気が付き騒ぎ出している感がある。
現在進行中の交渉も、特定の分野の利害関係、しかも目先のことだけの攻防なのである。
アメリカも、TPPの異常さに気が付き始めたようである。それでも、内情を知らない安倍ボッチャマは、アメリカ議会でTPPの主導権を日本がとっているような気で、前に進めましょうと息巻いていた。カンペから目外し、頭を上げて拍手を促すパフォーマンスはは忘れなかった。オバマですら、任期を睨んだ時間稼ぎをしているTPPである。この首相は本当に危うい。軍国化へのかじ取りだけに腐心する権力者が、TPP音痴であることを衆人に晒した格好である。
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