そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

簡易宿泊所という格差社会の底辺

2015-05-25 | 格差社会
川崎市の簡易宿泊所が二棟全焼した。この火災で神奈川県警は24日、火元の「吉田屋」の焼け跡の現場検証や行方不明者の捜索などを終えた。これまでに9人の死亡を確認した。火の気がなかったとみられる吉田屋の玄関付近が激しく燃えており、同署は失火と放火の両面で捜査を続ける。
報道は、出火が放火によるものであるとか、違法建築であったとかということに集中している。事件としてはそういうことで納まるのであろうが、これは格差社会など現代社会が抱える象徴的事件といえる。
9名のうち身元が判明したのは3名だけである。高齢者が多いが必ずしもそうとばかりは言えない。被害者は全員男性である。宿泊者のほぼ全員が失業者であって、ほとんどが生活保護受給者であった。
身元が判明しない6名も含めて、遺体の引き取り手が殆どいない。火災を逃れた宿泊者も含めて同類に人たちである。
この火災は格差社会の象徴的出来事である。私の町のもかつては優秀な酪農家だった人たちが、市街地の共同便所で・同炊事場で、6畳程度の1部屋に住んでいる人たちがいる。この場合はアパートであるが、以前を知る者にとって心が痛い。農家は破たんしても、農地などの不動産を手放さなければ、生活保護の対象にならない。やむなく土地を離れ、市街地にす居住するようになる。
多少は個人的な理由もあるが、多くは国策に乗って事業拡大や負債を重ねた人たちである。社会の最底辺に、人生の後半になって居住する人たちを見るにつけ、多くの人は優越感の元で、格差社会を論じているように思えてならない。
今回の簡易宿泊所の火災は、事件ばかりを優先する報道にもそうしたことが垣間見える。戦後社会の高度成長を支え、落ちこぼれた人たちなのである。男性ばかりなのも、自らの思いを納めることができないためなのであろう。
彼らが支えた社会は、脱落者と決めつけ格差を心的に容認するのであろうか。日本は空前の株高だそうである。実体を伴わない社会は、格差を広げるばかりと言える。
コメント (1)
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