そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

パレスチナそして中東全体をカオスに落とし込むトランプ

2018-05-15 | 中東

トランプのイスラエルだけを見る外交が新たな混乱の火種になっている。トランプがイスラエルのアメリカ大使館を、70年目の建国記念の日にエルサレムに移転した。同時のこの日は、パレスチナ人が祖国を追われた日でもある。トランプは大使館の移転を無神経に、一方的な自国の国内事情というにはあまりにも浅薄な福音派へのパフォーマンスである。
すじて日本の報道は中東について、表面的な現象優先が多い。イスラエルとアラブ諸国との戦いは同質の戦いではなく、質的にも全く異なるものである。死者の数だけ見ても、イスラエル1人に対してアラブ諸国の300程度である。武器の違いも甚だしい。イスラエルがあらゆる近代的武器を所有しているが、パレスチナは石礫(いしつぶて)である。兵士は訓練された正規軍であるが、パレスチナ側はろくに訓練も受けていない非正規軍でテロ行為と言われるゲリラ戦である。
武器を持たないデモ隊に実弾を乱射している。今回デモ隊に放たれた催涙弾は火傷だなどを引き起こす、化学兵器に近いものであったとされる。
これらの民族あるいは宗教は混ざり合うことは将来ともない。パレスチナ問題には、何らかの形で共存する以外に方法はない。その手法の模索こそが求められる。一方への肩入れはそれに逆行する。
かつてのアメリカは世界の警察を自認していたものである。そのことを評価するつもりはないが、少なくとも歴史的背景や民族間の関係や宗教的ないきさつなどを熟知はしていたものである。トランプにはそうしたものが何一つとしてない。今回のアメリカ大使館の移転は、現在の中東の混乱の原因になったと言える、ブッシュのイラク侵攻に匹敵する蛮行である。
世界各国の避難を受けても、自国の支持者を熱狂させることの方が優先課題であるトランプに、世界を語る資格などない。地球温暖化に興味などなく当然のごとくパリ条約を離脱し、長い時間をかけて8カ国が締結したイランの核合意を離脱し、そして今回のイスラエル大使館のエルサレム移転である。トランプに世界を語る資格などない。
史上初の米朝会談も、自国へのパフォーマンスが優先され自慢話とノーベル賞話ににんまりとする。習近平に入れ知恵された金正恩に、米朝会談を放棄されては困るトランプは、ジャブジャブ金をつぎ込むことになろう。トランプは国内の風評こそが大切なのである。この男に世界を語る資格などない。


コメント (2)
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