トランプが米朝会談の前の支持者の集会で、「ノーベル賞、ノーベル賞」とコールされ、上機嫌で見たことのない笑顔で照れていた。トランプは本気でノーベル賞が欲しいのだ。アメリカ共和党が推薦状をノーベル賞委員会に提出した。中間選挙に向けったパフォーマンスであるが、ブラックジョークも良いところだ。第一米朝会談すらまだ開かれていないし、どうなるかもわかっていない。
今起きていることは、北朝鮮の金正恩が中朝首脳会談と朝鮮南北会談の結果を受けて、朝鮮半島の非核化へ動き出しているに過ぎない。経済制裁の結果ではない。仮に、安倍晋三やトランプが盛んに言う経済制裁の結果なら、ノーベル平和賞の精神に反するし、受賞対象にそぐわない。
トランプは、地球温暖化には無関心であったり、移民を平気で詰り排斥する。世界平和など見向きもしない。トランプにとっては何がなくても、アメリカファースト実際はアメリカオンリーの外交を続けている。
国内的にはいまだ半数の幹部官僚が空席のままだし、選挙期間中のロシアエージェントの接触疑惑は真っ黒けである。ポルノ女優に提訴されているが、どうも暴力と金で封じたようである。
シリアへの空爆を二度も行っているが、それこそトランプの口にするフェイクニュースを根拠にしていることが、否定されていない。ウクライナの介入も、兵器販売のためである。
ましてや国連決議を何度にもわたって無視して、核実験と数多くのミサイル発射を繰り返し、国民の生活に無関心であった、金正恩までもが対象になるなら、平和賞の精神と真逆の行為を対象にすることになる。金正恩は核実験やミサイルを飛ばしながらも、国内的には自由経済を導入し、経済成長は順調なのである。核とミサイルが一定の政治成果が得られたことを背景に、周辺各国に経済支援をお願いすることであろう。それもこれも金体制の維持が前提だろう。
金正恩がノーベル平和賞の対象になるなら、トランプ以上にブラックである。2000年の金大中と金正日との南北会談では、韓国の金大中だけがノーベル平和賞を受賞している。北はこれに反応せず黙したままである。今回仮に対象になっても、金正恩は受賞はしないであろう。個人崇拝の最高位の人物が上から何らかの物を渡されるのを嫌うはずである。
過去幾度となく疑問視された人物へのノーベル平和賞がある。佐藤栄作が非核三原則で受賞したのはお笑いであるが、オバマは反核を演説しただけで受賞している。武器を手にする人たちを平和賞の対象にするべきではない。トランプはいかにも馬鹿げた話でである。