アマゾン川流域の広大な熱帯雨林で次々と森林火災が発生している問題で、ブラジル政府は26日、G7が合意した2200万ドル(約12億3千万円)の消火対策支援を断るとジャイル・ボルソナロ大統領が、ブラジルは植民地でないと断った。政治には理解に苦しむことが少なからずあるが、この文脈は全く理解できない。見返りがないというのである。
「マクロンは世界遺産の教会で予想できた火事さえ、防ぐことができないのに、我が国に消火の仕方を教えたいだって?」と、大統領側近が発言している。自然鎮火を待っているというのである。
ボルソナロ大統領は、例年の倍近くの森林火災が地球の肺といわれるアマゾンの相次ぐ火災を、NGOが火を放ったとまで発言している。ボルソナロ大統領は、アマゾンの熱帯雨林を保護ではなく、開発するべきだとして大統領になった男である。
アマゾン熱帯雨林の違法伐採などを監視するブラジル国立宇宙研究所の記録によれば、今年だけで、2013年の観測開始以来最多の7万7千件の火災が発生しているという。これは昨年の同時期より86%も多く、その約半数の3万8千件がアマゾンの森林地帯で発生しているのである。
明らかに政権の政治姿勢が、アマゾンの熱帯雨林の価値を認めていない。毎年発生する火災対策の費用を半額にしているというのである。
アマゾンの熱帯雨林が重要な理由。
〇地球上の酸素の20%はアマゾンで作られている。 〇森林が二酸化炭素の溜まり場となる。木がなくなり、サバンナへと変化することによって二酸化炭素を吸収する場所ではなく、それらを生み出す地域となる。〇 熱帯雨林には「世界の植物と動物の半分」が生息している。まだ発見されていない多くの種も多く存在していると推察される。〇アマゾンは4万種の植物と1300種の鳥と3000種の魚と430種の哺乳類と250万種の虫たちがいる。〇多くの医薬品の原料は熱帯雨林にある。ガン細胞に作用する植物の70%は熱帯雨林で発見されている。
アマゾンの価値を、アマゾンを所有するブラジルのトランプといわれる暴言発言を繰り返すボルソナロ大統領は理解していない。