安倍晋三の退陣で今や自民党の後継者レースに焦点が移った感がある。しかし安倍晋三の悪行は決して許されるものではない。
安倍晋三の政権時代、日本は大きく凋落の道を辿った時代といえる。統計は基準の数字を改変し、報道のトップと会食を重ね悪行の報道を封印し、極右翼思想者を優先的に登用し、経済の凋落をあからさまに指摘する人物を周辺から排除し、大本営発表しか受けない。粉飾されたアベノミクスの成果は、貧困層の増大と富裕層の優遇により格差のさらなる拡大を招いている。通常の国家なら暴動が起きそうな事態であっても事実が報道されず検証されずこの国の国民は黙する。
経済的な凋落は、コロナ禍でさらに深刻になる。そうした意味で安倍晋三はいい時に辞めるともいえる。これから起きる経済の悪化や政治への不満や不信などすべてコロナのせいにすることができる。
しかしこの7年あまりの時間は、経済的な凋落ばかりではない。日本という国家がこれまで築き上げてきた平和国家の理念、とりわけ憲法が掲げる国際協調は見事に踏みにじった。積極的平和主義で軍事増強を説明する矛盾を感じていない。
辞任表明会見で、江川紹子が場にふさわしくない質問をした。日本は今やIT後進国であるが、そのことを聞いたのである。内容も知らず見識もない安倍に聞くのは、相手も場所も不適切であるが、言っていることは正しい。技術大国、技術先進国と自負は富岳の世界記録で見えなくなっているが、確実にその地位を失いつつある。
国立大学から文系をなくすなど、この国を支えてきた国立大学に対する支援のカットがこの国の学術的基盤を凋落させる。更にコロナの渦中にある国立感染研究所は、安倍晋三によって30%も研究費がカットされている。コロナで大さわぎの保健所であるが、小泉・竹中の行政改革で大幅に縮小、合併されている。金を生まない施設を新自由主義の波の中で、いいだけ切り刻んできた。学術部門も例外でない。
ノーベル賞の受賞者がアジアでは断トツなどと言っているのは、我々世代の結果といえる。研究費や論文の数は圧倒的に中国などに追い越されてしまっている。学術研究分野の凋落を推進したのは安倍晋三である。
所で報道はインチキである。特にNHKは安倍晋三に同情的な街の声ばかりを流す。病人を責めるのは止めるべきとの声が多いのも気になる。安倍が退陣したなら、昭恵を即刻逮捕するべきである。桜を見る会では、1000人の弁護士の告発を真摯に受けて安倍自身をも逮捕するべきである。