結局、米軍の岩国基地建設の経験が国家権力をのさばらせ、国民なんて札束でひっぱたけば何とでもなると思わせることになる。読売系の日曜日深夜(月曜日の午前1時半ころ)放送の、NNNドキュメント’20は地方の放送局の秀逸の作品を放映している。読売系でも地方は抱える現実をしっかりと訴えている。
今週は山口放送であった。「民意再編 戦後75年岩国の選択」は多くの事を考えさせられる。2005年に国は米軍基地を倍にするという計画が持ち上がり、翌年受け入れを巡って住民投票をした。反対が43,433票、賛成が5,369票で賛成派は僅か6%に満たなかった。
国は突如として建設中の市長庁舎の補助金35億円を凍結した。更には、再編交付金を岩国から外した。怒った市民1万5千人は「怒」を掲げて抗議した。2年後の市長選挙で賛成派が僅差勝利すると、市長庁舎の補助金凍結を解除し、再編交付金を含め200億円を市に交付した。岩国は小中学校の給食と医療の無償化を実施する。少子高齢化が進行する地方都市を、金でひっぱたいて米軍基地拡大を実施したのである。ひっぱたいたのは外務大臣麻生太郎である。
岩国の米軍基地は極東最大の規模となっている。
忘れていたわけではないが、多くのことを思い起こされ、その後の沖縄と西南諸島のミサイル基地が着々と建設されるが、麻生が築いた政府与党と防衛省の自信の原点を岩国に見ることができる。更には寿都町の核のゴミ引き受けの説明さえ聞けばそれだけで、20億円という法外なお金に少子高齢化と人口減少のへき地の首長は食指が動いた。
岩国のある市議が、「アメとムチは理解している。アメは大きければ大きいほど良い。基地が欲しいわけではない」と述べていた。居直った発言であるが、倫理観も理性もない。翻意した岩国市民を責めるわけにもいかないが、政権は思い上がるばかりである。今日も札束抱えて、少子高齢化の人口減少の田舎に不都合な施設を押し付けるために虎視眈々で探し回っている。これが地方再生か!