漢民族(中国)のウイグル族などへのジェノサイドが厳しく徹底的である。民族の同化政策の域を超えて、民族浄化作戦あるいはせん滅作戦とでもいえる徹底的なものといえるものである。ジェノザイドは表現は正しい。
1948年のジェノサイド条約は「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を、集団それ自体として破壊する意図をもって行われる」行為をジェノサイドと定義したうえで、「集団の構成員を殺すこと」「重大な肉体的または精神的危害を加えること」「身体的破壊をもたらすよう企てられた生活条件を故意に集団に課すこと」「集団内の出生を妨げるための措置を課すこと」「集団の子どもを他の集団に強制的に移すこと」という5種類の行為を挙げている。5つの行為のうち1つでも確認されればジェノサイドに当たる。CNNのシンクタンクは、中国の行為が5種類すべてに及ぶと主張している。同条約は中国を含む152カ国が批准している。
この本の編集者の清水ともみ氏は、ちょっとしたきっかけから中国の新疆ウイグル自治区で行われている、国家による非人道的な行為を知った。これまで、「私の身起きたこと」など控えめであった。
本書、「命がけの証言」ワック刊1,320円(税込み)は1月に出版されたばかりのものである。中国の全否定を意識して、証言者は実名で出身地と顔を出している。読んでいると手も身も震えが止まらない怒りがわいてくる。21世紀の現代でもこのような、民族浄化が行われているのである。
国外の留学者は、帰国を強制されるがこれを拒否すると、家族のほとんどが行方フ枚になったり病死する。若い女性は強制的に不妊手術をされる。強制的に漢民族と結婚される。強制収容所では、中国と中国共産党を称える歌を歌わされる、拒否した人たちは特別室に行ったまま帰らない。
住むところも家族も宗教さえも、名前も文字も奪われ命さえも奪われて、780万人いたウイグル族は今や450万人程度になっているというのである。子どもは親から引き離されて、顔にまで国旗を貼りつけ国家を称えさせる。
ウイグル族のイスラム教徒はもっとも穏健な人たちである。そもそも漢族とは大きく異なる民族であり、諍いなどすることのない人達である。今回EUが経済制裁を加えることとなったが、中国には反省するそぶりなどなく、周辺の国家を経済的に締め上げて従わせようとしている。漢族(中国)によるウイグル族などへのジェノサイドを強く非難する。