そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

肉生産を家畜の生理にあった飼養管理に戻すことで正常化を図るべきで、人工肉などもっての外である

2023-10-16 | 農業と食

現在の肉の生産が極めて異常な状態である。異常なのは大半の肉を生産しているシステムの大型畜産農家である。農家というより最早、動物工場と言われる大型畜産は、大気に、地下水に、家畜に、国際経済に、そして何よりも人間への多く負荷をかけることが、ようやく広く知られるようになってきた。
現在消費されている多くに肉生産は、狭いところに置かれ、大量の遺伝子組み換えで肥培管理不明の穀物を大量に給与する施設で生産されたものである。
環境に極めて大きな負荷をかけ、フードマイレージも極めて高いものである。
こうした現状を嘆くことは当然である。そこで畜産の飼養形態を問うのではなく、登場してきたのが、人工肉あるいは人造肉と呼ばれるものである。
人工肉の一つが代替肉(食肉代替品:Meat analogue)と言われるものである。極めて衛生的に作るというのであるが、この代替肉は蛋白質を大豆に求めるのである。世界で生産される大豆の九割は畜産向けである。更に代替肉を支えるために、新たな大豆の生産をしなければならない。もうすでにそれは始まっていて、ブラジルの境最大の熱帯雨林は、経済の弱い国の犠牲になり始めている。代替肉は新たな環境破壊を産む結果になっている。
もう一つの人工肉は、培養肉(Cultured meat)である。これは一部のDNAを操作するのではなく、新たに筋肉を栄養供給によって作り出すものである。生態内では様々な異物などへの抵抗をする免疫などシステムがあるが、これには一切ない危険なものである。無菌的に作るというのは、細菌いないというだけであって、他の免疫機能はどのように働かく何もわかっていない。
試験管内で細胞を造成させるのであるが、極めて大がかかりな設備が必要になり、価格も数千倍と言われ極めて高価な”肉”になる。
エネルギー効率も極めて低く、そもそも成功するかもわかっていない。高価で危険な培養肉は、ラボの中での研究者レベルを脱することもない。
現在の集約的な、資源を消耗するような富める国の生産システムを否定し、家畜の福祉(アニマルウエルフェア)に配慮し、循環を重視した管理に変える方向への運動に切り替えるべきである。

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