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国連総会は一昨日、「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言(小農の権利宣言)」が賛成1221の圧倒的多数で可決されたが、このことを日本の報道各社は沈黙し押しつぶした。アベノミクスの破たんへの道の先鋒を担わされている日本は、この決議に11月の検討委員会に続いて棄権した。
この構図は核兵器禁止条約そっくりである。巨大資本が主役の農業国アメリカのご機嫌に従ったのである。世界の食糧問題は、そう遠くない時期に質と量の問題として深刻な問題として露呈することになる。これを解決するのは、新たな技術や資本などではなく、伝統的で地域の風土に沿った形態の家族農業・小農しかない。
安倍晋三は、すでに各所で破たんしているアベノミクスの農業版として、高資本投入による巨大農業の建設の驀進している。外部資本や外部資源に大きく頼った農業形態は、金銭評価だけの農産物を生産することになる。高く売れれば何でもよい。大量に生産が経営を支えるという、虚妄に支えられてさらに巨大化する。
農業は人の生命を支える食料を生産する、極めて重要な産業である。量はもちろん質も問わなければ、人の健康に貢献することができない。巨大農業はそれらを否定する。更に万人共通の財産である環境を徹底的に収奪する。
小農は食の安全を質と量で補ってくれる。地域紛争や貧困の原因を取り除いてくれる。環境の悪化を抑えてくれる。巨大資本や高度な科学技術や化学製品は、省力を行ってくれるが、土地生産性を低下させている。そうしたことを受けて、国連は来年から10年間を家族農業年としたのである。
国連小農の権利宣言は、農村社会を維持、発展させていくために小農の重要性を主張、価値や役割を強く認識し、小農の保護が都市の発展や暗手ににもつながるとし、協同組合の権利を守り、支援する必要性も明記している。宣言に法的拘束力はないが、極めて大きな意義を持ち、棄権した日本は世界の動きから離反することになる。
小農の権利宣言は、2012年3月に人権の専門家らが国連人権理事会の諮問委員会で小農の権利保護に関する報告書を提出し、国連人権理事会でボリビアが宣言作成のための政府間の作業部会を提案し、6年以上議論を続け今回の決議に至ったものである。日本は会議に農水省の役員すら共産党の紙智子氏からの要請で、渋々安倍晋三が一人派遣した経過があるだけである。
日本は急峻な土地が多く狭く、水量と日光量が豊富で、消費地に近く勤勉な国民である。土地条件からして最も小農に適した風土の中にある。