新自由主義の権化、竹中平蔵はこの国を回復不能にまで落とめた、数少ない張本人の一人である。
竹中平蔵を閣内に呼び込んだのは、郵政民営化を唱える小泉純一郎である。竹中は小泉改革の象徴になって、周辺に彼の新自由主義論理に反対する人物さえいなくなる。
小泉・竹中改革で最も大きな傷は、非正規雇用を常態化したことである。雇用者は被雇用者(労働者)を意のままに、廃棄することができるようになった。それまでは、非正規雇用者は特殊技能や通常の社会体制でない場合、被災地の医療関係者とか、建設現場の特殊技能者のように限定的であった。
派遣社員の枠を取り払って企業が抱える労働者を、ほぼ自在に派遣雇用できる形態を導入させたのである。
特に大きな企業は、単純作業などを派遣社員を派遣会社から取り寄せる形の、雇用関係にない雇用体系を作った。賃金をいくらでも安くできるし、労働組合など結成して権利要求などすることもない。既存の労働組合は、非正規雇用者の安価な賃金を横目で見るだけで、自らの立場が削減される可能性を胸に彼らの権利要求に無関心となる。
既に日本の賃金は先進国では最悪となってしまっている。非正規雇用者が半数となり、GDPの60%以上を占める国内消費が伸びず、日本はあらゆる分野で世界から後れを取るようになる。
その後竹中平蔵は派遣会社パソナを作り、自らが手掛けた派遣法を最大限活用することになる。成長率1000%越えの大儲け企業となる。
竹中平蔵は、参議院で自民党の上位に置かれ国会議員になるが、閣内に呼ばれないことを確認すると、ポイと議席を投げ出した。民主主義も投票してもらった選挙民の思いなど全く興味がないのである。
そしてこの虚言を心酔しているのが菅義偉である。ひょんなところから、望外の首相に収まり、真っ先に菅が官邸に呼びつけたのが竹中平蔵である。底の知れた男である。
「金持ちを貧乏ににしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」「首を切れない社員なんて雇えないですよ。全社員遣社員でいい」「人は貧乏になる権利がある」「オリンピック中止の世論は間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違ってます」等々、言いたい放題の竹中である。
ではこの男はオリンピックでなにしたのか。東京オリンピックでは人材派遣はすべてパソナが独占している 。現場の責任者は時給1,650円、日当にして約1万2,000円であるが、パソナとオリンピック委員会との契約では最低でも日当20万円であるが、いくらんでもこれはひどい。抜きとかパクリと言われている。現在東京オリンピックの贈収賄事件の調査が進行中であるが、竹中はパソナを突如辞任した。
あらゆる社会活動を経済的効率でを判断基準とする、その判断は市場がするというのが、新自由主義である。ここには人の生活はない。
こうしてみると、新自由主義はまるでカルトのようである。政治権力に寄り添って自腹を肥やす。並べる理屈はすべてを金で評価し、金銭的の効率をすべてに優先する。
『金だけ、今だけ、自分だけ』そのものが新自由主義である。環境に限界がることがはっきりしていた、21世紀にはこうしたぼったくりで、利権を追い求めるような思想というか、経済指標は間違いであり、あってはならないと思われる。