国連のゲテーレス議長が声を荒げた。「一つの国家が武力による威嚇、または武力行使により他国の領土を併合することは、国連憲章の原則および国際法の違反だ」と述べ、さらに「ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国で、特に国連憲章を尊重する責任を共有している」と強くロシアを非難した。
侵略した土地で銃で脅し投票させる。兵士はもう1枚投票しろと投票用紙を差し出す。投票率は軒並み80%で併合希望は98%になるという。半分以上故郷を捨て避難している土地である。まるで18世紀の侵略者、ツアーのようにみえる。プーチンは歴史から何も学ぶことはない。
例え暴力的に占拠したところで、殺戮を繰り返した土地で統治はどうするのであろうか。新たな内戦の火種を残すだけである。
チェチェン人の半分を殺したり国外に追いやっての、新たなチェチェンの建設は大きな負担になったはずである。
今回併合を希望したとされる4州の戦況もままならない。そもそも兵士が集まらない。法律を強化しなんとか集めたところで、厳しい戦況である。俄か仕立ての厭戦気分のロシア兵は、勇猛果敢に戦うだろうか。
4州併合祝賀会も高揚感もなく、プーチンの支持率が10%も落ちている。といっても70%台ではあるが、一気に降下する可能性さえある。
4州の併合選挙は茶番であることをロシア人は気が付き始めている。ほぼ徴兵に近い部分動員令が国民をざわつかせている。多くの戦争がそうであるように、この戦争も為政者が国内向けに行った、戦力維持のための色が濃い。
ウクライナは、ヒトラーとスターリンという稀代の独裁者の虚偽と暴力に翻弄された地域である。
第二次世界大戦のレッテルを貼りあっても、もうナチもいなければスターリニストもなく、東西ドイツは壁をなくしソビエト連邦もなくなってしまった。しかしながら、多くの人に傷として残っているのも事実である。彼らをまとめていた民族主義は、逆作用として対立する。悲劇はプーチンという独裁者の存在と仲介者がいないことである。
しかし、どのよう悪態があっても戦争をする理由、侵略口実になるわけではない。プーチンはスターリンの悪霊の中にいるかに見える。