懸念していたことが現実になった。稲田朋美や中谷元や小野寺五典たち取り巻きの軍事オタクに、要望書を提出させる演出までした敵地攻撃能力のことである。自衛隊の敵地攻撃能力を次期政権に本気で取り組ませるのである。安倍晋三が退任前の最後っ屁をかます。
安倍晋三は今日(11日)、地上配備型迎撃システム(イージス・アショア)の配備断念をしたが、更なる軍事強化となる安全保障政策談話を発表した。それは、敵のミサイルをどのように迎撃するかに特定したこれまでの防衛体制を懸念するというものである。敵基地攻撃能力を念頭に検討した「ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針」を基に与党との協議を経て、年末までに「新たな方策」を示すとするのである。新政権つまり菅義偉に、今年年末に改定する防衛計画大綱と中期防衛力整備計画に、敵地攻撃能力を銘記させるつもりである。
談話は地上イージスの代替策を検討していると説明し、「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか」と指摘し淡である。何のことない、イージスアショアの無能力を理解したり、余りに高額になるので社会保障にそのお金を回すのではなく、更にお金を軍事につぎ込もうというのである。その上で「抑止力を高め、わが国への弾道ミサイル等による攻撃の可能性を一層低下させていくことが必要」とのべている。
敵地攻撃能力の更なるアップは、敵に更なる機能の向上を促すことになる。敵国の抑止力の向上につながり、自国の抑止力向上にはつながることなどない。
敵地攻撃能力は先制攻撃を意味する。自衛隊の存在を憲法が容認するとされれる最低限の根拠、「専守防衛」に抵触し明らかな憲法違反となる。敵の軍事施設を適地と限定することも不可能である。移動式のミサイル発射台や潜水艦発射などは、場所の特定すら困難である。
敵地基地が特定できたとしても、施設だけの破壊など困難である。ましてや無防備の一般市民や施設の殺傷や破壊につながらない保障などない。適地は複数あるだろうから、必ずや敵も敵地攻撃をする口実を絶える。それだけで挑発行為となる軍事力を肥大化させてはならない。軍事強化はコストが高くつくばかりではない。不安定な国際緊張関係を生み出す要因となる。
戦争は外交の失敗の結果と言われる。安倍晋三はこれまで積み重ねてきた憲法無視の総仕上げに、更なる軍事強化を企んでいるのである。