イランが大統領選挙の結果を巡って混乱が起きている。事前の予想では伯仲すると見られていたが、開票結果ではアフマディネジャド大統領の圧勝と発表された。不審な開票速報など大いに疑問のあるところである。
改革派と言われている。ムサビ元首相を支援する人たちのデモが弾圧される動画がネットを通じて世界に発信されている。イランのイスラム体制は国会の上に、宗教上の最高指導者を位置づけている。
これまでは最高指導者は、どちらにも顔を立てる立場をとるものであった。ところが今回、ハメネイ師は選挙結果を支持するばかりでなく、アフマディネジャドと思想的にも近いと発表したのである。ムサビを支持する改革派は、ハメネイ師を非難し始めた。これまでなかったことである。
イスラムの教えを重視するアフマディネジャド大統領たちは、反アメリカの立場をとる。79年のホメイニ革命以前のイランでは、西欧化への反発でもあった。しかし、国民の半数以上が革命 後の世代となた現在、再び民主化、改革への動きが急である。とりわけ都市部や知識人層の多くがムサビ支持に回っている。
国家評議会の選挙結果の一部再調査などを行い、選挙結果に問題はなかったと発表した。ハメネイ師の保守派指示に次ぐ大きな痛手を改革派は被ったことになる。改革派を中心とする、国民の不満はやり場がなくなった格好である。
これで当分の間は、保守派の強硬な武力などをもちいた弾圧もいっそう強くなるであろう。イランは当分の間混迷する事態になるであろう。中東では唯一単一民族国家といえるイランの動きは大きい。
国際的には、イランの石油を最も多く輸入している中国が、いち早く選挙結果の支持を打ち出している。これに対し、いったんはイラン国民の問題であると静観を打ち出したオバマは、デモの動きと武力弾圧に対して抗議声明を出した。
これに先立つ、オバマのカイロ演説は、イスラム国家を一旦遠ざけたところから対話を求めた、従来のアメリカの視点を大きく転換させるものであった。多くのイスラム国家は驚いた。オバマ演説が実効を見せ始めるか、核問題も抱えるイラン対策はその格好の試金石と言える。
フォトアルバムに<羅臼の小さな山>アップしました。
選挙は民主主義のシンボルのように思いますが、日本だって最近まで投票権は実質的に金で買われていました。
中東の最大の問題はエネルギー争奪戦と感じています。
自衛隊の海外派兵は、警察行動という理解しがたい理由で漁船を利用した海賊に高性能の兵器を使用することも可能になったようです。
日本では安全と水はただと言われたのはそれほど昔の話ではありません。
「油の一滴は血の一滴」と言われたのは昔の話ですが、「淡水の一滴は血の一滴」と言われる時代が近づきつつある気がします。
そんなことを考えると、日本の先端技術は自然エネルギーの開発に集中する時代背景があると思います。
<羅臼の小さな山>の写真を見ると心が洗われます。