そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

工業化する畜産が被害を拡大する鳥インフルエンザ

2017-01-31 | アニマルウエルフェアー
韓国の鳥インフルエンザの広がりについて本ブログで書いたが、フランスでも深刻な広がりを見せている。
フランスでH5N8型鳥インフルエンザが広がり、フランスのフォアグラの70%を生産する南西部が深刻なようである。周辺の家禽の淘汰などで、フランスではフォアグラが食べられなくなるのではと危惧している。
採卵鶏のほとんどは閉鎖された鶏舎で、明かりをコントロールされ穀物を機械で給餌するようになっている。自然の状態では、年20個ほどしか生産しない卵であるが、こうした鶏舎での鶏は、一羽当たり年500個ほども生ませている。明かりと10時間ほどつけて、10時間ほど暗くすれば、鶏は一週間は8日にもそれ以上にもなる。
年500個という表現も正確ではない。3ヶ月ほどで淘汰されるから同じ鶏が単語を生み続けているのではない。
鶏にも毛血液が流れているし、切れば出血する。疼痛もあるし自由に動けないので、近代的な閉鎖された鶏舎ではストレスの塊のようである。
家畜はペット・愛玩動物と違って、生産することで飼育されている。生産量が落ちれば淘汰される。個体の価格を超える治療は行われない。終末治療や延命治療は、基本的には家畜にはないといって良い。
そのために、鶏や豚や牛などの家畜は生命を持つ生き物として、現場での認識は弱い。k地区を命ある生き物として捉えようというのが、家畜福祉という考え方である。
鳥インフルエンザの蔓延は、こうした飼い方と無縁ではない。採卵鶏であれば一農場(農場というより企業であるが)で、20万羽以上は珍しくもない状況である。鶏は個体が安価なために、治療することなどまったくない。そのために、多頭数飼育がより一層早まった。そして豚へさらに牛へと大規模化は進行している。
飼料は殆どがメリカ穀物になってしまう。畜産加工業と呼ぶにふさわしい巨大化した畜産の中に、私たちは生命ある個体として扱うように活動を始めた。

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3 コメント

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Unknown (タンケ)
2017-02-03 14:28:28
同じ生きる命なのに、人間に至ってはその傲慢横暴さには謙虚さも限りもない。だが、傲慢横暴であればあるほど権力や傲慢さを誇るのが人間ということらしい。今世間を騒がしているトランプも救いようのない足の生えたバカのアベシンゾもそんな人間の一つということになっている。

こんな屑未満の人間に対して自身の一つしかない貴重な命を捧げている動植物に、人々は少なくとも素朴誠実な感謝を示すことが必要ではないだろうか。齢たかだか70年80年を終わることのない欲望を追及している人間だけれど。
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養鶏場と都市に共通点が? (唐松)
2017-02-03 20:37:59
 幼少時、数羽のニワトリを飼い雛も孵化した。この頃のニワトリは、自由に運動し卵殻は厚く、黄身の形は崩れなかった。卵と肉も丸ごといただき、ご馳走だった。
 その後、米国の農業技術者が我が家に入り浸った。機械農耕や農薬導入、小規模な鶏ゲージ飼育も始まった。

 昔の経験だが、米国人家庭では神への感謝のお祈りが食事の開始合図だった。
 日本の学校給食で、ある時期「いただきます」という言葉は不要と、親からの抗議があった。食材費を支払っているから当然の権利と主張したが、金の問題ではないことを理解した。

 暴言・妄想と批判されて結構。現代人は富と便利さを求め都会というゲージに集中していないだろうか。鳥インフルエンザを大災害に見立てると、殺処分はされないまでも水・食料危機を乗り越えるのは困難だろう。田舎生活の底力に尊敬する。
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唐松様 (そりゃないよ獣医さん)
2017-02-04 08:24:17
今鶏のケージ飼いを禁止の動きがあります。
今月末に金沢で。獣医師学会がありそれがトップに議題に取り上げられています。聞いてきます。二本よりアメリkが企業優先で進んでいるようです。
3日間寝込んでいました。
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