閣僚が辞任する度に安倍晋三は、「責任は私にある」という言葉を、壊れたぜんまい仕掛けのおもちゃのように吐きつづける。しかしただの一度も責任をとったことがない。安倍晋三だけではない。詰め腹を切らされた本人はともかく、上司や指示していた政治家は誰一人として、責任を取っていない。
新型コロナの二波、三波は恐れていても安倍晋三の二波、三波は無関心である。第一波が集団的自衛権行使容認のため内閣法制局長官を、慣例を破り法務に無関係な外交官を据えたことといえる。集団的自衛権は所有するが行使できないという従前の内閣の方針を変えさせる、入口に立つ法制局のトップを変えさせたのである。その後の森友学権問題、加計学園問題と何波も日本を襲いかけているのが、アベノムセキニンである。例えば森友問題で、公文書の不正ねつ造があってもそれを無罪放免させたのであるから、同類の犯罪行為が次々と出てくるのは当然のことである。法律はお咎めだけではなく、抑止効果もあるのであるから、類似の犯罪が安倍周辺で起きるのは当然である。
今回の黒川弘務検事を巡る問題が連続して起きるのは、政治家はこれまでお咎めがなく、官僚は忖度すればどんどん出世させてくれるからである。稲田検事総長に定年前の退官を打診しても埒が明かないので、結局1月になって安倍の一声で黒川の誕生間近になって公務員適用で定年延長させた。法務大臣が知らされていなかったのはその直後の答弁で明らかでるが、口頭決裁などと苦し紛れで乗り切った。賭け麻雀がバレて辞表を提出したが、訓告処分に収まった。懲戒が検討されていたが、官邸つまり安倍の一言で覆り、口止め料として退職金が支払われる訓告に抑えられる。これをごまかすからぼろ場がでて苦慮する。苦慮するが、うまく乗り切れると出世が待っているし、退職金だって出してもらえるからである。
安倍は任命責任があるとしながらも、何の責任も取っていない。口先だけである。甘利明の件などは本院の方が明らかに認めているが、黒川が不起訴に持ち込み甘利は詐病で10カ月も引きこもっている。安倍に頭が上がらないのだろう。任命責任はもみ消すことではない。アベノムセキンは現在各方面で現在進行形である。