日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

「アフガニスタンに住む彼女からあなたへ」を読む。

2005-07-27 04:49:28 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
大急ぎで読んだ一冊の本。
戦の後のアフガニスタン。
35歳の山本敏晴医師がその国での医療援助活動を通して体験したことだけでなく、民族のこと、イスラム教のことを理解したいと臨み、伝えたいと書き記してくださった本です。

幹部の持つ利権がしっかりと巾を利かせている話。
病院設備の充実を目指すにも町の幹部の協力がないと始まらない。その人はニコニコと応諾してくれるものの、その病院に雇う地元のメンバー(医師、看護婦、その他の職員)は案の定その幹部の身内だった、という話。援助チームが支払う安定した給料は、地元の多の職と較べて超魅力的で、一族で固めてしまおうとするこの心根(どこかの国にもちらほら見受けられたりして…笑)。
援助チームは出来るだけ有能な人を雇いたいのだけれど、雇い人の選択権を譲ろうとしない。そこで、試験問題を課すことを提案。100点満点で医者としては70点は欲しいところ20点しか取れなかった言う現実。

母親が病院に連れてきた泣き止まぬ赤ちゃん。
お腹がすいたか、どこか痛いか、これらはどこの国でもある普遍的なこと。この国では泣く理由の一つに、麻薬の禁断症状の場合もあるとの事。
日頃赤ちゃんがむずかって困る時に、身近にある麻薬をチョコッと口に含ませるのだそうだ。そう問題意識すらなく、そういう環境で育つ子供は小さくして中毒に…。身近に麻薬の原料の栽培…。換金作物としてはなかなかなくならないのがこれも実態。

山本医師にイスラム教の教えを詳しく説明してくれた女性は、「世界中がイスラム教徒になれば、平和になるのに」と。

一夫多妻のことも、ブルカのことも、山本医師の問いにアフガンの人はごく自然のこととして、返事を返している。

実は、夏休み前の図書館で見つけて借りたのですが、「課題図書ですから」といわれて、早めに返還してしまいました。
高校生向けの夏休み課題図書らしいです。
アフガン専門家が書いたものであれば、もっと専門的かもしれませんが、山本医師の真摯で暖かい目線が、より多くのひとに知ってもらうことを目的としているので、解りやすく書かれており、こころに残ります。



コメント
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