詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

読売新聞の価値(うそとほんとうの書き分け)

2019-05-21 08:35:11 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞の価値(うそとほんとうの書き分け)
             自民党憲法改正草案を読む/番外267(情報の読み方)

 読売新聞は「安倍寄り」ということで、ネットなどではしきりに叩かれているが、「安倍寄り」だからこそ、貴重な情報が載っていることもある。

 2019年05月21日の読売新聞(西部版・14版)の一面。

GDP2期連続プラス 年2・1%増

 という記事。賃金が減り、「不景気」といわれているのに、なぜ? 自分の身の回りの金の動きしかわからない私には、「大局」の経済がさっぱりわからない。「統計」もゆっくりと見つめたことがない。だから、「なぜ」がほんとうにわからない。
 1面の記事には

個人消費や設備投資がふるわなかったが、公共投資が景気を下支えした。輸入が大幅に減少したことも、計算上、GDPを押し上げた。

 と書いてある。注目したのは「計算上」ということば。これはつまり、「GDP2期連続プラス」になったのは、単に「計算上」のことにすぎなくて、景気がよくなっていることではない、という意味なのだ。
 景気がよくなったと、読売新聞は「嘘」を書いた、と非難されるのを恐れて、こっそり「ほんとう」を書いている。「私はちゃんとほんとうのことを書きました。ていねいに読んでください」と「言い訳」を隠している。こういう書き方が多い。
 で、一面の記事だけでは、何のことかよくわからないが、3面に解説がある。
 「輸入」との関係については、こう書いてある。

 輸入は海外で生み出されたモノを買うことにあたり、国内で生み出された価値とはみなされない。このため、GDPの総額から差し引かれている。輸入が増加すればGDPを押し下げ、減少すれば押し上げる関係にある。

 日本人が金持ちになってどんどん外国製品を買えばGDPは下がる。貧乏になって、不景気で買えなくなればGDPは上がる。日本人が貧乏になった証拠だ。
 「個人消費」の説明を読むと、「不景気」が、さらにぞっとするくらい身に迫ってくる。こう書いてある。

 速報値では、企業の在庫の積み上がりを示す民間在庫が0・1%分、GDPを押し上げる方向に働いた。生産活動の結果、在庫が増えたとみなすためだ。しかし、実際にはモノが売れずに在庫が積み上がった可能性もあり、今後の景気にマイナスに働く恐れもある。

 慎重に書いているが、「実際には」に注目。
 ものが売れずに在庫が増えただけというのは「可能性」ではなく、「現実」なのだ。
 先日のコンビニの「食品ロス」対策とあわせて読むと、「実際(現実)」が「可能性」ではなく「リアル」に迫ってくる。
 「食品ロス」は簡単に言えば「食品が売れなくなった」ということに過ぎない。売れれば「ロス」は少なくなる。「環境対策」と言えば聞こえがいい。「不景気」という印象が薄れるから、そういうだけなのだ。
 コンビニの「食品ロス」対策は「弁当」などの「食品」限定のことだが、売れないのは「弁当」だけではない。ほかのものも売れない。企業に在庫が増えるばかりだ。つまり、企業の在庫は、消費を見込んで製品をたくさんつくったからではなく、見込みよりも消費が少なくて売れ残ったということ。
 こっそり書かれている「みなす」にも注目したい。「みなす」は1面の表現にしたがえば「計算上」ということになる。「みなす」ことができるだけであって、実際は、違う。

 ようするに、GDPがアップした。景気はよくなっている、というのは嘘。
 でも、「政府」が発表しているから、発表は発表として書くしかない。ほんとうはどうなのかは、「事実上」とか「実際には」ということばのあとに、そっと書く。
 読売新聞(だけではないと思うが)、ニュースは、「事実上」とか「実際には」ということばのあとに書かれているところに、読むべきものがある。








#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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