■아부의 왕 (ゴマすりの王様) 2012年 〇〇〇〇- (152)
△「ゴマすり」は中国語で「馬の屁」
映画の題名から、もう少し軽い内容のコメディー映画を予想して
いたが、いい意味で裏切られた。
人は、言葉に傷つき、言葉に怒る一方、言葉に乗せられ、言葉に
救われ、言葉に勇気づけられる。
いい意味でも悪い意味でも、言葉は人の人生を変える大きな力を
秘めている。
「혀고수」(舌の達人)を自称する「感性経営」(ゴマすり)の師匠は、
主人公の営業マンに教える。
「真のゴマすりとは、大切なものを守るために全てを捨ること」。
△いい味を出していた主演男優のソン・セビョク
主人公は大切な両親を守るため、体裁や自尊心を捨て切り、体得した
ゴマすりのテクニックを駆使し、営業マンとして成功して行く。
しかし、財閥を相手にした大きな商談の成功を目の前に、彼は葛藤に
陥(おちい)る。
実は、その商談の成功は、昔の恋人を裏切ることを意味していた。
2人には、結婚を誓い合ったものの、彼女側の父親の反対で結婚を
断念し、別れた過去があった。
△最後まで結ばれない二人。女優はハン・チェア。
結局、昔の恋人への「純情」を捨てきれなかった主人公は、商談相手
である財閥の悪徳会長と戦う道を選ぶ。
戦うと言っても、手段はもちろん、ゴマすりの話術だけ。
ゴマすりの師匠は、そんな彼を「청출어람(青出於藍)」(出藍の
誉れ)と称え、主人公に協力する。
笑いながら、心が暖まるコメディ映画であった。
(終わり)