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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

狼と羊皮紙 第11巻 感想: なるほどね、改めて「月を狩る熊」の伝承を描き直すのか。新大陸編、やる気まんまんだなw

2024-10-14 18:35:01 | 狼と香辛料/羊皮紙
前巻で「肩透かし」を食らったと思わされた「月を狩る熊」伝承の、名誉挽回のような回。

「月を狩る熊」の伝承を創り、それを自ら維持するために、教会内部に取り入り、異端審問官まで上り詰めたうえで、各地の精霊=人ならざるものたちの存続に一役買ってきた、と自称する巨大なフクロウの化身であるローシェなる男が登場したから。

それはそれで、また別種の肩透かしでもあったのだけど。

だって、ローシェの説明によれば、

「月を狩る熊」伝承の原型になった「熊」は、孤高の王者で、人間と精霊=人ならざるものとの「共存」を目指したがために、人間からも精霊からも疎まれる存在となった、

ということのようだから。

でもそれでは、同じ理想を抱きながら何もできなかった梟ローシェからすると、そのまま悪役としてその「熊」をとどまらせるのは、あまりにもしのびないから、自ら「熊」の伝承を創り、その「熊」の勇猛さを後世に伝えようとしてきたらしい。

異端審問官として教会の中枢に忍び込みながら。

まぁ、それだけ、熊に対する敬愛が強かったということだよね。

しかし、こうなると、やっぱりこの『狼と羊皮紙』の話に決着がついた暁には、「月を狩る熊」が、人間と精霊が共存できる国を創りに海をわたった「新大陸」に、コルやミューリが向かう新章が始まるのだろうな。

まぁ、まだ、コルが「薄明の枢機卿」として行わければならない「新教」による「宗教改革」の完遂がプロジェクトとして残っているのだ、まだまだ先のことになりそうだけど。

でも逆に、この段階で改めて「月を狩る熊」を前面に出してきたのは、その先があるということだよね。

ただ、その場合は、新大陸に船を送り出す話になるから、エーブやロレンスが金策のためにも、商人として関わるのは必至だろうし、

なんだったら、クリーベントが、イギリスによる北米植民地を作った史実と従うように、ウィンフィール王国の貴族たちの次男や三男を引き連れて、コルたちと開拓小民の事業に関わる、というのもありかもしれない。

なんたって、船長ヴァダンもいるしw

今回のように、人ならざるものたちが結集して新大陸に向かうという話にもなりそうだな。


ということで、「月を狩る熊」編、楽しみになってきたw

で、本巻の内容だけど、今書いたように、「月を狩る熊」の伝承が生まれた経緯が中心といえば中心だった。

もちろん、選帝侯たちとの腹のさぐりあいとか、

その延長線上にある、新教を支援する帝国vs教会、という宗教戦争に向けた布石が巻かれた感じ。

まぁ、戦争が始まってしまったら、本巻でも何度も強調されていたけど、ただの戦闘シーンの連続になってしまうから、そんなことにはこの物語ではしないと思っているけど。

まぁ、でも戦争が始まるようだから、新大陸へ、というのもありそう。

ただ、コルやミューリの考えだと、熊の行った新大陸のある西ではなく、東に向かう、ということだから、今更ながら、十字軍の遠征や、ヴァスコ・ダ・ガマのような喜望峰の発見、みたいなことになるのかもしれない。

あ、でもそれじゃ、新大陸編にならないじゃんw

どこまで話を広げるのか。

しかし、そうなると、意外と次に控える「公会議」はあっさりと終わるのかな?

そろそろ物語的には7合目くらいまで来た感じなんだろうな。
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