バンベルクの続き。大聖堂でリーメンシュナイダーの彫刻に出会いました。(写真)私には絵画、彫刻などは「猫に小判」、「豚に真珠」なのですがなぜかこの人の名前だけは記憶にありました。
それは以下のドイツ人ノーベル文学賞作家トーマス・マンの言葉です。1945年ドイツナチス崩壊直後の講演です。
「ドイツ革命(16世紀のドイツ農民戦争)のこの最初の試みの悲しむべき結末について****ドイツの国民的人物であるルターは大いに責任があります」と述べ、
それに対比して「当時ドイツに、私が完全な共感を覚える一人の男がいました。その名はティルマン・リーメンシュナイダーといい、敬虔な工芸の親方、彫刻家で木彫家***高い名声を博していました。****人間として、市民として高い声望を勝ち得て、市参事会員でした。***貧しい人々や圧迫された人々のために脈打っていた彼の心は、彼が正義であり神意にかなっている認めた農民の立場に味方し、領主や司教や諸侯に反抗***対農民戦への従軍を拒否****。彼はそのために、恐ろしい償いをしなければなりませんでした。***農民一揆が鎮圧されたのち、彼が反抗した勝ち誇る歴史的勢力は残虐極まる復讐を彼に加えたからです」(岩波文庫「ドイツとドイツ人」p17~19)